インタラクティブ性が高いと質が低くても満足できる: iPhone 3G の話

月曜日はテレビを観る日なのだが、SMAP×SMAP なぞ流していると、iPhone 3Gの宣伝が流れていて、けっこうアプリケーション派手でいい感じなので、ほしくなってきた。M 者さんも買ったらしいし……。

というわけで

を読んでみた。前読んだジョブズ本と作者の人が違うので、いい意味で視点が違っておもしろい。なぜ iPhone がいいのか、どういいのか、コマーシャルみたいに動画で流すわけにはいかないので、外堀から埋めていくしかよさを伝える方法がないのだが、それにうまく成功している。(話の半分は iPhone ではなく、iPhone に至るまでの Apple の製品の作り方なので、iPhone についてだけ知りたい人には物足りないかもしれないが、iPhone が生まれたのが「必然」に思えるような筆の運びになっているので、これはこれで迫力がある)

とはいえ個人的に「なるほど」と思ったのはジョブズの言葉ではなく、また孫引きになってしまうのだが、アップルフェロー(特別研究員)でもあったアラン・ケイの言葉で、

We can predict the future by inventing it.

という言葉であったり、さらに同じアラン・ケイによる話で、画像とインタラクティビティとの関係について、インタラクティビティが上がると画質が下がっても満足度が上がる、といった内容。最初演劇は生身の人間が演じるし画質(?)は最高だが、映画の登場により画質も理情感も下がっても時間・空間を離れる(何回でも観られるし、わざわざ劇場まで行かなくてよい)ことができたので普及し、次にテレビはそのフィルムよりもさらに画質が低下したにも関わらず、自分の家で観られるし、しかも視聴者にチャンネルの選択権があるので大きく広がった、という話(さらにビデオは画質が悪いが、自分で好きなときに録画・再生できるようになったので、以下同様)。最後にコンピュータゲームは画質としては(ドット絵だったころもあるし)著しく低いのだが、ユーザが操作できるのでインタラクティブ性は最も高く、それがユーザを熱中させているのではないか、という分析である。

自然言語処理も精度が低いアプリケーションと高いアプリケーションとあるのだが、精度が低くてもインタラクティブ性が高ければそれなりに使える見せ方もあるのではないかな、と思った。(とはいえ「こんなことも分からないの」とがっかりさせることも多いので、なんとも言えないが……) 実用的に使うものはゲームじゃないから精度重視ではあろうが、ビデオくらいの解像度があれば(自分で結果をコントロールできるなら)実用的にもみんな満足だった、という事実を指摘されたのは目から鱗であった。