反論文

反論を考える。この author response という制度は割とよいと思う。言うなれば、査読が論文を出して一方的に結果が返ってくるものだとすると、投稿者(のターン、以下略)→査読者というのが、投稿者→査読者→投稿者→査読者、となるわけで、少なくとも相手の反応を考えて文章をしたためる、というのが双方自然にできるようになる(たぶんよく論文を通す人は最初から査読者のことを念頭に置いて論文を書くのだろうけど)。

あとはこれも人工知能系の学会でときどきあるようだけど、アブストラクトだけ先に出させてそれでふるいにかけるというのも効果的かと思う。典型的な査読者は論文の1ページ目を見てもう落とすか通すか決めるという話(査読をしたことはないが、他人の論文を読むとき似たような感覚はある)だけど、アブストラクトで1次的なふるいをかけるというのはそのプロセスの粗い近似にはなっているだろう。さばききれないくらい論文が集中する分野ではそういう負荷軽減も必要かなと思う。

先日人工知能学会誌の英語論文の書き方についての記事が参考になると紹介したが、そのうち松尾さんの記事とほとんど同一のものが松尾ぐみの論文の書き方:英語論文で読める。人工知能学会誌が読めなかった人はどうぞ。あと、英語論文に限らず一般的な論文の書き方についても松尾ぐみの論文の書き方でまとめてくれている。細かい論文の書き方も大事だけど、こういう与太話的なものはあまりフォーマルな形で書いていなかったりするので、貴重である。(ほとんどの場合、指導教官や先輩からの口伝というか、共著になっている論文の添削という形で伝授されるのだと思うけど、それだと他人の技を盗むのがうまい人とそうでない人の間で差が激しい)