研究の問題意識を明確に

本日は [twitter:@Bollegala] さんに首都大にトークに来ていただける日なので、朝から楽しみ。

トークの前、うちの研究室の深層学習勉強会の人たちの研究にコメントをくださることを快諾していただいたので、1人5分でライトニングトークしてもらう。「やっぱりそうするしかないのかな」と思ったこともあれば、「へえ、そういうことも可能なのか」と思ったこともあり、そして「なるほど、深層学習の研究をしているとそういう感覚になるのか」と思ったのが、一番の収穫である。時々こうやって外部の人と技術交流をするとよいと思った(こちらからも情報提供できるとよいのだけど)。

トークは「分散的意味表現の教師なし学習」というお題でSlideshare にも上がっていて、Ustream で配信したところ、40名ほどの参加があって盛況であった。現地で参加した人も40人くらいなので、インターネット経由で見た人のほうが多かったかもしれないが、現地ならではの雰囲気もあるので、わざわざ来てもらった喜連川研の方々には感謝である。

内容に関して、自然言語処理における深層学習は単語や文などの表現学習と深いニューラルネットワークの学習とに分かれると見ているのだが、前者に関する初歩からかなり突っ込んだ最先端までのお話。最後は国際会議でのホットな話がバンバン入っていたが、質疑応答ではそこも含めてたくさん質疑があったので、初めての人にも詳しい人にも楽しめる、刺激的なトークであった。個人的には再帰的なニューラルネットワークのように深い層や複雑な構造を持った系列の学習に最近興味があるのだが、表現学習も人工知能では重要なテーマで、ここもそれなりに勉強しなければ、と思う。

毎年のように ACL や AAAI, IJCAI のようなトップカンファレンスで発表しているのがすごいと思うが、トークを聞くと、どのような問題をどのように解決するのか、という研究のストーリーが明確で、これは通るべくして通る研究だと思う。学生と論文を書くときも、最初の1ページで、研究背景と目的をちゃんと書くように(先行研究のなにが問題で、提案手法がそれをどのように解決するのか)、ということを繰り返し伝えるのだが、最初の1ページでこれができているかどうかで後のページを読む価値があるかどうかを判断されるので、とにかく読者と問題意識の共有をすることが大事なのである。

お昼は研究室前のエレベーターホールで懇親会。学生に寿司を買ってきてもらってみんなでつつく。あまり夜に出歩くことができないので、こうやってランチの時間に懇談できるのはよいなと思った(前の週くらいまでは、あまり深く考えていなかったのだが、人数が多そうだったので、トークの週になって急に学生にお願いしたのだが、対応してもらえてありがたかった)。

午後は機械翻訳勉強会の進捗報告の後、研究会にて言語処理学会年次大会の原稿チェック。10件以上あると、2時間でチェックが終わらず、翌日に持ち越し……。少しずつ進めるしかない。