コメントをすればするほど勉強に

昨日の17時を言語処理学会年次大会の原稿の初稿の〆切(投稿〆切は1/13なので、ちょうど1ヶ月前)にしていたので、届いた原稿を届いた順に見る。10件ほど発表予定なのだが、1回目の添削は1件あたり1時間以上かかることが多いので、全部返すまでに1週間を見込んでおり、第2校の〆切は2週間後(つまり、もっとも最後に送ってきた人は、反映まで1週間)を予定している。

今年は半分ほどの原稿は、自分以外にコメントをする学生を指名している(共著者のときもあるし、共著者でないこともある)ので、全部自分で細かいところまで見なくてよい(というか、むしろ見ないほうがよい)のだが、数が多いと前々から準備する必要があるのだ。もっと学生同士でブラッシュアップできるようにしたい(教員の負担を減らすという目的もあるが、どちらかというとそれは副産物。コメントをする方が、コメントされる方より、論文を書く力が上がるので、研究能力向上のために、学生がコメントをする機会を作りたい)のだが、どうするのがいいのかな?

午前中は企業の方の来訪(3回目)。うちの学生もアルバイトでお世話になったりしたので、お礼を述べたり。

アルバイトやインターンシップに関して、最近までは割と内容(企業でやる研究開発の内容と学生の興味)的なマッチングが大事かと思っていたのだが、やってみると学生もおもしろさに気付いたり、新しい展開があったりもするので、実はマッチングはあまり重要ではない(やりたくないことでなければ、強くやりたいことではなくてもよい)、ということが分かってきた。自分自身、Microsoft Research に行くまでは、ウェブ検索(クエリログ)に特に興味はなかったのだが、行ってデータを見て大いに興奮したものなので、自分の体験からもそうであった。

逆に重要なのは学生の能力で、最低限これくらいは説明しなくてもできる(分かる)よね、という基本的なスキル(知識)があるかないかがクリティカルで、聞いたら一瞬で解決するような「知っていればよい」話はどんどん聞いてほしいし、そういうことがやたらと多いので、遠慮せずどしどし質問してよいし、質問するべきでもあるのだが、厄介なのは、ちゃんと理解していないと、表層的に聞くだけでは分からないような事項。その区別をするにもそれなりの知識が必要だというのが、問題をさらにややこしくしているのだが、時間をかけて勉強しないと分からないことは、大学で時間をかけて身に付けておいてもらう他ないわけで、その負担を(了解済みではない)企業の方にお願いするのは避けたいし、ある程度能力的にフィルターをする必要がある(たとえば、言語処理100本ノックおよびチュートリアルの達成率8割以上、とか)のかも、と思ったりする。

午後は言語学習支援勉強会と機械翻訳勉強会の合同進捗報告。グループの人数的には4+5=9人で、1人15分として2時間強なのだが、経験上1人15分では厳しく、案の定翌日に持ち越し。割と細かいところまで自分がコメントする(というのも、聞いたら一瞬のことを1ヶ月引きずったりすることが多いし、全体ミーティングを短くして個別対応すると短期的な負担は減るかもしれないが、一人に伝えたことが共有されず、長期的には学生たちにノウハウが残らないため)せいもあるが、前期の読解支援勉強会でやっていたように、学生のみで研究の問題点を確認し合う時間と、教員が入って進捗報告をする時間を分けたほうがいいのかなぁ。前期は勉強会が過密なので厳しいかもしれないが、来年ちょっと考えよう。

夕方は南大沢で国際副専攻委員会。システムデザイン学部では、カリキュラムを変えない限り半年の留学でも1年留年しないといけない、という問題があり、導入を見合わせているのだが、他の学部の運用を見ていると、大学院への進学を前提に研究室配属後に行くことにすれば、現行のカリキュラムでもなんとかなるような気もする。研究室内で配属学生に差ができてしまうので、研究室に負担を強いてしまう、というのがデメリットであるが、海外にしばらくいた学生が修士で2年間くらい残って還元してくれるなら、悪い話でもないような。ただ、実際やってみると、大学院で他大学に行きたいと言い出したり、学生にはいいが教員には手間が増えるので理解が得られない、とかあるかも……。