朝、例のごとく妻を職場まで車で送り、そのまま出勤。メール処理と事務書類。
昼から大学院のプロジェクト実習に関する打ち合わせ。結局KDD Cup 2013 の論文の著者推定タスク を数チームに分かれてやってもらうことになりそう。
自分の研究室の学生なら研究的なテーマをやって論文を書くところまでやってもらうのがいいと思うのだが、所属する研究室のプロジェクト実習は選択できないという制約があるために、研究から論文を書くところを取り除いた実習にしなければならないのである(学期末にはポスター発表をする)。そうすると、勢い実装メインの実習にせざるを得ず、研究につながる部分といえば(system description 程度しか書かないということなので)サーベイをどこまでやれるかという問題に帰着する。そのため、できるだけ実装しやすく、サーベイの負荷も少ないテーマにしようとして、ここに落ち着いたのであった。うまく行くかどうか分からないけど……。
打ち合わせのあと、科研の分担の書類関係のお仕事。自分自身の科研が書けていない(ので他の仕事に手を回しにくい)という問題があるのだが……。
午後は他の研究室の大学院生から進路相談。周りにいろいろと心配してくれる人がいるようなので、自分が言うまでもなく、本人で納得の行く道を見つけていたようで、自分はフムフムと聞くだけ。首都大にも気概のある学生がいて、よい感じである。せっかく東京にいるのだから、みんなもっと都心で開催される勉強会に出てみたり、あるいは大学で(研究室を横断して)勉強会を開催したりするとよいと思うよ。自分自身 NAIST にいたとき、SICP の勉強会やIntroduction to Information Retrieval の勉強会を(研究室外の人にも声をかけて)開催していたし、都心から遠いからできない、なんてことはないのである。
夕方は論文誌に投稿予定のドラフトのチェック。久しぶりに見たせいか、4時間ほどかかる(国際会議版の原稿を準備する段階で既に20往復近くしているのだが)。論文の内容を向上させるために新しい実験等を追加するフェーズと、論文の質を向上させるために内容を固定してブラッシュアップしていくフェーズがあるのだが、内容が固まらないといつまで経ってもクオリティを上げることができず、逆にクオリティを上げに入ったあとに追加でやらないといけない実験が発覚するとかなり手戻りが発生するので、一度なにが必要が洗い出したらそれを全部やり、結果が揃ったところで本文をひたすら書く、という手順でやったほうが書きやすいのではないかな。「松尾ぐみの論文の書き方」を引用すると
論文を書こうという段階になって、研究をやり直し始める人がよくいます。 まだここが気になるから論文を書けないという人もいます。 研究は終わりのないものです。 ほとんどの研究者が自分の研究に満足していないでしょう。 研究は常に進み続けるものですし、研究者たるもの、自分の研究に満足する瞬間はほとんど訪れません。 研究トピックも深まったり、移り変わるものです。 では、終わらない研究のなかで論文を書くというのはどういうことでしょうか?
論文を書くことは研究のひとつのプロセスです。 いまの研究の状態をひとまず仮に固定してみて、それが研究コミュニティにどう貢献するのか、 できるだけ他の人に分かってもらうために整理して書くわけです。 したがって論文を書くという作業は、現在の研究の状態を固定して制約とした上で、 説明性を最大化する作業ということができます。 アルゴリズムを修正したり、評価実験をやり直すのは、そうそうやってはいけません。(それは別のフェーズの作業です。) いまある材料を、文献の引用や理論展開で補いながら、論文の主張をサポートしていきます。
ということであり、一度固まったら「アルゴリズムを修正したり、評価実験をやり直すのは、そうそうやってはいけません」というのに、全く同意である(もちろん、どうしてもやり直さないといけない実験や、明らかなアルゴリズムの間違いや、どう考えても簡単に実装できるアルゴリズムの改善はやる必要があるが)。
夜の9時から水曜日の演習の準備。1回目だからどうしようかと悩みつつ作り、午前2時までかかる。授業前日に作ると本当に綱渡りで心臓に悪いのだが、〆切直前でないと無限に時間を使ってしまうので、悩ましいところである。本当はもっと時間を取りたいところなのだが、ちょっとこれがいまの限界……。