論文を通す最後の一苦労

午前中、JAIST からゲストを迎えて low resource languages のための機械翻訳についてのトークをしてもらう。結構これまでに発表論文もあるようだが、発表している学会があまり重なっていないためか(お互い自然言語処理にいるのだが)、コミュニティ的につながっていないみたい。

発表にはいろいろとコメントをしたが、コミュニティ的に離れている、というのはいいことと悪いこと両方あるな、と思ったりする。いいことは、独自の生態系を作ってそこで進化できることで、悪いことは、他のコミュニティでは当然とされている知識を共有しない(できない)ことで、もっとしっかり研究できたんじゃないかなぁ、と思ったりするが、そしたらこんなに発表できていないだろうし、これはこれでよかったのかも。

午後は進捗報告を聞く。M1 は来年度に国際会議に投稿できればいいので、まだサーベイしていても全然問題ない(12月には実験が始まっていればいい、くらいのペース)のだが、B4 は年内に研究に目鼻がついていないといけないので、かなりスケジュール感が違う。どこまで細かく言わなければいけないのか不明だし、NLP 若手の会シンポジウム後に研究テーマを変える人もいるので、あまり具体的に「こうしなさい」と言わないことにしているのだが、さすがにこのままだと卒論(修論)がまとまらなさそう、と判断した場合は、研究テーマの変更も含め、細かく指示することにしている。

NAIST 松本研にいたころと比べると、サーベイし過ぎで困る学生はうちでは見たこともないし、あり得ないと思っているのだが、サーベイしなさ過ぎで困る学生はいるだろうな〜。国際会議の原稿をちゃんと読む習慣をつけることを研究室の方針にしていが、サーベイはしてもし過ぎることはないと思っていて、それよりは(国内の研究会・全国大会発表レベルの研究で満足してしまい、査読付きの国際会議や論文誌に通すレベルの)実験をしなくて困る学生の方が問題だと思う。

結局実験が足りないと英語で書いても査読付きの国際会議に通すのは難しく、採択率50%以上のワークショップ程度にしか通らず、研究室としてはあまり英語で書くモチベーションが上がらないのである。学生としてはどこに通そうが海外に行けるので、海外に行きたいだけならどこでもいいのだろうけど……(それでもまだ海外に行きたいと思ってくれていたらマシで、本当は海外には行きたくないのです、と言われたりすると、国際会議に投稿しても誰も幸せにならない)