学生のうちに他人に分かりやすく説明する練習をしておく

人生2回目の講義。授業のページも作ってみた。参加人数は1回目の講義と同じくらいだが、半分くらい人が入れ替わっている。まあ、参加した人になにがしか得るものがあればよいのだけど……

2回目にして思ったが、授業の準備をするのはけっこうしんどい。NAIST助教は数年に1回90分x4回の授業が回ってくるだけだが、他の大学の理工系の助教の人で年間週に14コマ (1回90分x15回x14) 授業があるとか聞いて卒倒しそうになったことがある。90分x4回の授業だけでしんどいと言っていると、誰かに刺されたりするかもしれないが……。着任した年は授業の準備だけでなにもできない、という話をときどき聞くが、全くもって納得。自分が学生のころ、助教とか准教授になったばかりの人がしばらく論文を出さなくなったりするのを見ると、安定した職に就いたから落ち着いてしまったのかな、と思っていたりしたのだが、授業の準備やらなにやら、仕事に慣れるまでがやたら大変、ということが身にしみて分かる (いまから懺悔したいくらい)。

自分も過去研究室内の M1 向けのチュートリアルで資料を作ったりしたが、ああいう機会を利用して他人に長時間説明するための資料を作る練習をしないと、いざ学生でなくなったときにものすごく困るのではないかと思う (松本先生から、そういう意図で博士後期課程の人にはスライドを作らせて、それを使って説明させる訓練をしている、と聞いたことがあるが)。授業だと他人の作ったスライドで話すわけにはいかないし、1回こっきりでもないので、スライドを準備するのも大変……。逆に言うと、一度どこかで時間をかけて作っておくと、使い回しができるので楽になる。自分も外部でのトークのスライドをよく他の用途に流用している。たとえば Microsoft Core プロジェクトに採択していただいた (先日「採択された」と書いたのはこれ) が、他のところで話した内容をベースにして作り替えたりしていたし。

昼過ぎに fei-c くんと hirotsugu-e くんの中間発表。分野が違う人に説明するのは難しい。いや、同じ情報系なんだから、違う分野だ、と言ったりしたら、もっと違う分野の人からは奇妙に思われるかもしれないが……(大学院の「研究科」というのは大学でいう「学部」に相当するので、同じ学部に所属する人を相手に喋るような感じ。ドイツ経済史の研究をしている人が、タイの文化人類学の研究をしている人に説明するとか、通じるんだろうか。)

午後、歯医者に行って左上の親知らずを抜歯する。虫歯でもないし、年を取ったら使えるかもしれないので、できるだけ歯は抜きたくないと思っていたのだが、30歳も過ぎてから親知らずがどんどん歯を前に押して歯並びが悪くなってしまい、これはどげんかせんといかん、ということでとうとう抜くことにしたのである。妻と話すと、妻と出会ったのは5年前だが、そのときは歯並びがきれいな人だと思った、と言っていたが、最近は明らかにがたがたしているので、この5年で悪化したのだろう (この歳でまだ歯が生えるというのも驚きなのだが)。調べてみると、相手がいてきれいに生えている親知らずはそのまま置いておいたほうがいいが、相手が生えてこない親知らずは (特に歯並びを悪くするようなものは) 抜いてしまったほうがいいようだ。

ちなみに、NAIST に入った年に一度抜こうとしたことがあり、そのときは麻酔で気持ち悪くなってしまって断念したが、来年から妻と同居することもあり、今回は全部片付けておこう、と思った次第。調べてみたら2008年3月にも抜こうとしていたようだが、2008年はちょうど4月に結婚式を挙げて、6月から同居を始めたのであった。そのときは結婚式の準備等々で忙しすぎて、ちょっとリスキーなことは自重しよう、と思って止めたのであるが……

さて、以前歯科衛生士さんから「ばっし」と聞いて「抜糸」だと思って1-2分話が通じなかったのだが、今回は「抜歯」で、すでに生えているのでそのまま抜けばよく、切開したりする必要もないので、「抜糸」はないらしい。麻酔が効くまで5分ほどかかったが、歯を抜くのは3秒くらいで完了。血が止まるまでまた5分ほど。麻酔が抜けたら食事も普通にしてよいとのことで、意外なくらいあっさり……。「簡単に抜ける」とは聞いていたが、こんなに簡単ならもっと早く抜いておけばよかった〜 (そしたら歯並びも悪くならなかったのに……)

歯医者から帰ってくると [twitter:@takahi_i] さんがいらしていたので談笑。Mixi の R&D はこの12月で退職され、次の新天地に行く前の「卒業旅行」として NAIST にいらしたそうだ。相変わらずでなにより。自分も3年に1回くらいがらっと環境を変えたいと思うことがあるのだが、なかなか……。

夜は言語教育勉強会。takeshi-na さんが

  • Kireyev, K., & Landauer, T. K. (2011). Word Maturity: Computational Modeling of Word Knowledge. ACL 2011.

を紹介、する予定だったが、進捗報告の人数が多そう、ということで、同じ著者の上記の論文に関連するもっと短い報告書を紹介してくれる。そちらの報告書、必要な数式が書かれていないので、なにをやったのかさっぱり分からない。簡単に実装できて有効そうな手法である、ということは想像できるのだが……。

自然言語処理の場合、たいていは精度が大幅に向上するのはそれまで使われていなかった素性、あるいはデータを利用するときであって、機械学習の手法を A から B にしました、というくらいではそこまで結果に大差はないのが普通である (ある意味当たり前だが)。もちろん、機械学習の手法にもそれぞれ得意分野と苦手分野はあるので、データやタスクによってその性質に合った最適な手法を使うと効果があったりはするが、そういう性質を無視して「こういう手法が最近流行っているので適用してみました」というだけの研究というのはあまりおもしろくない。(一番乗りにはなれると思うけど)

時間がかかってもいいから自分が解きたい問題のデータを見て、簡単な手法から始めるのでいいのでベースラインを実装してみて、そこから取りかかってみたらいいんじゃないかな〜。

進捗報告は seiji-k くんと [twitter:@pavlocat] くんと [twitter:@shirayu] くん。M2 の2人は修士論文に関する実験の途中報告。どちらも少しずつ結果が出てきているようで、おもしろくなってきた。ひとまず問題の分析ができるところまで行くと、どこを直せばよいか分かるし (どう直せばよいかは分からないこともあるが……)、研究も軌道に乗ってくるのではないかな。