ATOK for iPhone と Google 音声検索

ジャストシステム,ATOK for Android、ATOK for iPhoneの開発を示唆だそうで。ATOK for iPhone 作る気なのか。がんばろう。でもどうやって(というか誰が)作るんだろうか……。Android は今後モバイルだけでなくカーナビや図書館の検索端末とか(Kindle とか?)、いろいろな場面での活用が考えられるので、Android で使える IME を作るというのはかなり需要があるように思う。いまは Simeji (Social IME もしくは OpenWnn ベース)くらいしかないので、たぶんそれなりのエンジニアが作れば Androidデファクトスタンダードも取れると思うのだが、ATOK が来る前に誰か参入しないだろうか(笑)

「Google日本語入力」開発者が語る、その狙いという記事もあるのだが、こちらはsatoru-t さんが Google IME を Chrome OS に搭載するとポストしたように、今後は Chrome OS でも使われていくようだし、デスクトップは強敵出現! ってところだが、

要望が高かった64ビット版は近日中に公開する予定。使用したユーザーからのフィードバックや「この機能がないと使えない」といった要望が開発側に多く届いており、不具合の修正や要望を盛り込んだ形で正式版を早期にリリースしたい考えだ。

 Chrome OSに組み込む場合は、同OSがOSS化を予定しているため、組み込んだ部分についてはIMEオープンソース化することを検討しているという。ただ、同IME自体がLinuxに対応する予定はないとしている。

 同日から「Google音声検索」の日本語対応が始まった。IMEと同様の技術が日本語音声認識に組み込まれているが、IMEはモバイルに対応する予定はないという。ユーザーニーズがPCとモバイルで異なる上、システム上の制約も異なるためとしている。

とあるように、モバイルはしばらく参入予定はないだろう。とはいえ、

 辞書の語彙数は公開していないが、辞書のデータサイズは50Mバイト以下。圧縮にかなり工夫をこらしており、「よくこの語彙数でこのサイズになったと自画自賛するほど」のコンパクトさになっているという。

のように、サイズ的な制約と CPU 的な制約が厳しいとすると、このリソースだと3年後にはスマートフォンでも大きな変更を加えずに使えると思う(というかその時代だったらメモリ2GBの IME だってそんな馬鹿げた話ではないと思う)し、時間の問題か。

 その豊富な語彙数や無料というインパクトから他社製IMEとの比較も注目されているが、及川さんは「現在のIMEに対する不満より、Chromeもそうだが、われわれが作るならどういうものが作れるのか、という点が立脚点になっている」という。「他社との差別化はゴールにしていない。人の頭の中に浮かんだものをそのまま出すにはどうすればいいかということを考えている」。新しいアプローチを提示することで、縮小しつつあるIME市場が活性化するのでは──とも話す。

とのことで、縮小しつつある IME 市場が活性化するのはいいね。(蛇足だが「ユーザーはキーボードから語句を入力してWebアプリを利用するが、「この形できれいにいくのは英語圏だけ」だと及川さんは話」 したそうだが、英語圏だけでなくてもヨーロッパ言語圏は全部そうだし、複雑な IME が必要なのは日本語と中国語くらいで、あとの言語は入力と出力の表を引くくらいで入力できるんじゃないかなぁ。とはいえ、英語だけでいいじゃないか、という態度ではなく、一番複雑な言語に合わせて作らないといけない、というのは正しいと思う)

ここからが本題だが、言いたいのは Google 音声検索。実は音声認識というのは、(統計的)かな漢字変換と同じ原理で動いており、GoogleIME を作れるなら音声認識も容易に作れるだろう、というのが想像できる。他に同じ原理で動いているものとしては、機械翻訳、文字認識、スペル訂正などがある。特に Google ブック検索など、大量の本を裁断して読み込んでいるし、文字認識(OCR)の技術も相当のものがあるだろうし、音声検索に乗り出しても全く不思議ではなかった。

特に、専門的には孤立単語認識というのだが、単独で単語だけ喋って認識させるのは、実は現時点でもかなりの精度があるので、入力がほとんど単語であるウェブ検索であれば、音声認識との相性もよいし、iPhone のように喋っていても違和感がないデバイス(PC に向かって喋っているのは変に見えるが、電話なら一人でも喋るのは違和感ない)で使われるのは全くもって正しい。

自然言語処理の応用分野って、使えそうで使えないアプリケーションがたくさんあるのだが、こういうふうにいい出口が見つけられるといいんだけどなぁー。