もしかしてインタフェースの問題・研究費のイメージ戦略

Google Japan Blog によると、「もしかして」機能がパワーアップされたらしい。

新しい「もしかして」では、訂正後のキーワードを今まで通り「もしかして」と表示するとともに、有用と思われる場合には、そのキーワードでの検索結果の最初の2件も表示します。これによって、タイプミスをしてしまった場合でも、クリック1つで目的のページに行くことができるようになります。一方、本当に入力したキーワードで探したい場合でもユーザーの皆様の検索をできるだけ邪魔しないよう、元のキーワードでの検索結果は残しています。

「もしかして」機能は綴りを間違えたときや、もしくは綴り(変換)があやふやなとき便利な機能だが、ワンクッションあるのがこれまで不便だなと思っていたので、この変更は歓迎。最初の2件というのが曲者、というかきっとテストして決めた数なのだろうが、その変換結果でよいかどうか判断するには2件で十分(もしくは2件出せば再現率を保てる?)、ということなのだろう(多すぎると邪魔だし少なすぎるとこれまでと同じで再検索しないといけない)。

バックで動いているのは、編集距離などを使って検索クエリの類似度を計り、似ていてかつ(相対)頻度が高い検索クエリを出しているエンジンで、自然言語処理技術もこんなところで使われているのだろうが、やはり使い勝手を向上するのは自然言語処理だけではだめで、こういう小さいインタフェースの改善を積み重ねて使いやすくなっていくのだろうと思う。

「もしかして」機能があるだけでも Google を使う価値があると思う(特に日本語なら自分でなんとかなるのでいいが、英語だと綴りがあやふやだったり、間違っていても気がつかなかったりするので、Google 以外あまり使う気にならない)のだが、はてさて。

そういえばOfficial Google Research Blog では Google University Research Awards というのを始めていたそう(プログラム本体へのリンクはここ)で、研究とも親密な関係を結びたいようだ。

[...] we received 149 proposals and we ultimately decided to fund about a third of the projects

ということで、年$10K-15K(90-130万円)とそんなにくれるわけでもないが、そこまで競争的でもないので、若手研究者には嬉しいのではないかな?(研究計画書も3ページだけだし) 恐らくミソは

Proposals must have a motivated Google sponsor, who will act as a liaison
[...]
Our aim is to keep the proposal submission process simple enough so that investigators can be supported without the burden of excessive formalities. We think your time is best spent on research, not on paperwork!

ということで、(アメリカの)大学で研究費を獲得するために大量の書類を書かないといけないのはきっとみんな飽き飽きしているので、それに対して少しの労力で取れる代替案を提示することと、Google の「中の人」と大学人を結ぶ、ということで、100万円程度でコネクションができるんだったら本当に安いものである。一般的にはこういう形態での共同作業は「共同研究」と呼ばれると思うのだが、そう呼ぶとさまざまなトラウマ的反応が双方に起こりうるので、名前をもっと聞こえのよいものにするために Research Awards としているのではないかな?(イメージ戦略として賢い)

いろんな意味で Google が独走しているようだが、他の企業は大丈夫なんだろうか……。Google は MS の轍を踏まないようにいろいろ研究しているようで、すごいなぁ。