教育に時間を使う意義はある

午前中は B3 の研究室インターンシップ。色々あってかなり遅れてしまい、メンターの学生にほとんどお願いしてしまった。せっかく時間を合わせてもらっているのに、申し訳ない。

そもそも研究室インターンシップを全く実施しない研究室も、あるいは教員が全く関わらない研究室もあり、うちの研究室は恐らくもっとも教員が参加している方だと思うが、どうするのがベストかよく分からない。配属された学生に使っている時間より、配属されていない(期待値的には1割くらいしか、その後研究室には配属されない)学生に多くの時間を使うのはどうか、という考え方もあるだろうし、だからこそほとんどの研究室では教員が時間を使っていないのだろうが、教育としてはここに時間を使わないとコースあるいは学科全体でレベルアップできないと思うので(うちの研究室だけがレベルアップしても、首都大の学生のレベル全体が改善してくれないと、プレゼンスの向上につながらない)、やはり自分はここに時間を使うつもりである。教育は複利で効果が出てくるものなので、時間をかければ他研究室に行った学生がそこで地道に少しずつよくしてくれると思っている(実際、最近は他研究室の修士での研究も、かなりクオリティが上がっていて、ようやく NAIST 並みになったと思う)。

お昼は人生相談を聞く。個人個人でいろんな事情があるのでなんとも言えないが、教員になってから様々な経験をしているので、最近はだいぶ事前に(1年前から、というか、ほとんどのケースでは2年くらい前には)予想できるようになってきた。事前にこうなることが予想できたとしても、文字通り予想通りの展開になってしまって、回避方法が分からない、という問題はあるのだが……(現在は、そもそもそういう状況にならないようにしているので、たぶんこういう状況になるのは今年で最後だとは思う)。

午後一は受託研究のミーティング。本来は前回のミーティングで結果が揃っていて納品して終わりになっている予定だったところを、結果が変だったのでもう一度お越しいただいたのだが、今回もどうも結果が変で、もう一度年度内に最後のミーティングに来ていただくことに……。さすがにこれはおかしいのでは、と思い、企業の方に帰ってもらってから、その場に学生に残ってもらって2人でソースコードを見せてもらってデバッグしたら、10分くらいで原因が見つかって正しい結果になった。この受託研究、もともと半年の予定だったので学生1人しかアサインしていなかったが、納品物のクオリティ的には(あるいはデバッグのためには)人の目があったほうがいいので、企業との共同研究・受託研究には少し冗長に思っても2人入ってもらったほうがいいのかな、と思ったりした。

午後は統計数理研究所に移動して共同研究のミーティング。こちらは「共同研究」と言えど何かの契約を結んでやるようなかっちりした感じのものではなく、ゆるく集まって興味のあることを議論する、というような形なので、特に学生を複数人アサインしたりする必要はないし、特にそのようにする動機もないのだが、学生1人だとその学生が抜けるタイミングで引き継ぎができなかったりするのがクリティカルなので(それと同時にプロジェクトが解散するような場合は別にいいのだが)、悩ましい。大学として共同研究契約を結ぶと、共同研究をする主体は大学(または大学の指揮系統にある教員)となるので、担当する学生によらず共同研究を継続できる体制を維持するのは教員の仕事になるわけだが、そういうシステムではないとすると、あとは信用的な問題なので……。