研究分野ごとに常識は全然違う

朝少し早く出勤して、学部3年生の人生相談に乗る。就職するか進学するか、というのは多くの3年生が悩むことだと思うが、結局自分がどういう仕事をしたいのかに尽きるのではないか。あと、(開発や研究に関する)アルバイトやインターンシップをやっておいたほうがいいか、という相談もよく受けるのだが、まだやったことないなら1回くらいやってもいいんじゃないかな。やってみておもしろくないと思えば就職先の業界を再考できるし(あるいは実力が足りないことが分かれば必死に勉強するだろうし)、良くも悪くもお試しで少しできるのはよいと思うのだ。あまりに期間が短いと、そこで学べるわけではなく、既に知っていることを如何に吐き出すか、というチャレンジになってしまうので、1週間以下のインターンシップはやめた方がいいと思うけど。

午前中は NLP自然言語処理)若手の会シンポジウムの発表練習。2分間の口頭によるブースターセッションとポスターセッション。夜遅くあるいは土日はポスターが印刷できないため、事実上明日の夕方がリミット。学生同士でポスターに対するコメントやアドバイスを言い合ったりしているので、みんな成長しているなぁ、と感慨深い。結局のところ、コメントを言われるよりコメントを言う方が勉強になるので、みんなもっとじゃんじゃんお互い口を出した方が成長すると思うのだ。(とはいえ、全くどのようにすればいいのか知らないと、コメントのしようもないと思うので、1年目は割と小町が口を出したが)

お昼は三重から見学に来ている学生とランチ。彼もうちの研究室に来年修士で入学することが決まっているので、入学前に何をしたらよいかとか、雑談をする。まあ、月曜日に言ったのと同じで特にないのだけど、卒業研究はしっかり今の研究室でしてきてほしい、とは思う。結局どんな研究でもいいので、与えられた環境でベストの努力をしようという人なら、うちに来ても新しい環境で楽しめると思うし、逆に今の環境に不満ばかり言って何もしない人は、行った先でもなにかしらいちゃもんをつけて手を動かさない可能性があるので(とはいえそんな気も起きないほどのひどい環境もあるだろうし、常に置かれた環境で頑張らないとダメと言うわけではなく、脱出するしか精神を保てない場合もあることも知っているので、なんともいえないが)。

午後は教授会。8月は定例の教授会がなかったので久しぶりに感じる。しかし博士論文の審査になると、まだ首都大ではD合(博士論文の審査に参加できる)でないので、自分にだけ投票用紙が配られないのが切ない。奈良先端大では助教も博士論文の副査をしていた(ただし主査はできない)のだが、首都大は助教はおろか准教授も着任してしばらくしないと博士論文の審査資格がないようなのだ。大学によっていろいろと違うものである。

教授会の後は研究安全倫理委員会の説明会。妻が看護の専門なので、倫理委員会については繰り返し聞いているが、情報系でも段々と必要になって行くと思われるので、聞きにきたのである。首都大は荒川キャンパス(医療系)南大沢キャンパス(文系・理工系メインキャンパス)日野キャンパス(工学系)のそれぞれで倫理委員会が存在するそうで、日野キャンパスでも倫理審査を受けることができるようだ。看護系では倫理委員会の承認がないと病院等の施設では実験をスタートできないし、倫理委員会の承認のない実験データを使っても論文の投稿すらできないそうで、全然違うという印象である(そのため、荒川と日野でわざわざ別の委員会にしている)。

アンケート調査の具体的な注意点なども説明してもらって、有益な説明会であった。というか、アンケート調査についての講習会的なものがあるとよいと思うのだが、授業で受けるとすると、心理学になるのかなぁ。