朝は自然言語処理に関する教科書、Speech and Language Processing の第二版 (2009) の輪読をスタート。これは NAIST 松本研でも東北大乾研でも使われている、自然言語処理のスタンダードな教科書である。だいぶ値上がりしている気がするが。
Speech and Language Processing: International Edition
- 作者: Dan Jurafsky,James H. Martin
- 出版社/メーカー: Pearson
- 発売日: 2008/04/29
- メディア: ペーパーバック
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隣の研究室(高間研)のB4の学生も参加することになり、なかなか賑やかな感じに。音声関係の章は飛ばすとして、1年で読み切れるかどうか、だなぁ。週2回やらないと終わらないのでは? という気もする。アプリケーション関係の章は、興味の順番かな。
お昼は外部からうちの研究室を受験希望のB4の人とランチする。そろそろ大学院入試の季節。日野キャンパスは後期の水曜日のお昼以外は学食が混み合うこともないので、ゆったり食べられてよい。今年度修士で入ってきてくれた1年生5人のうち、B4からの持ち上がりは2人で、3人は研究室外からの人だし、外部から来てくれるのはウェルカムである。外部から来る人は、授業と勉強会のコンボでM1のうちは相当大変じゃないかなと思うけど、最初の1年で基礎知識を叩き込んでおいたほうが研究するとき楽なので、なんとか乗り切ってほしいものである。
午後は研究会で、修士の人たちにこれまで取り組んだ研究内容を紹介してもらう。卒論について話してもらったり。回ってくる回数が多い(隔週)ので、今回新しい内容はなくてもよいことにしたのだが、やはり前回からの差分がないと、前回の内容を知っている人には退屈な話になりがちだし、なにより研究をしている感じじゃなく見えてしまう。来年度は半分くらい今年とメンバーが被る(今年は4/10が被っていた)し、在学生が増えて進捗の回ってくる回数も減るので、来年度は最初から差分のある進捗報告をしてもらおうかな?
夕方は南大沢に移動して、学部1年生向けのオリエンテーションである。在学生をヘルプに出してほしい、という依頼があったので、申し訳なく思いつつ、広報係の2人に来てもらう(大学院入試説明会のお手伝いはバイト代を出せるが、今回のお手伝いはバイト代を出せないし……)。たまたま来てもらった2人はシステムデザイン学部で学部生を過ごしていなかったが、大学生活一般について話してもらえるかなと。
オリエンテーションは2部構成で、1部はK家先生による情報通信や画像処理、セキュリティに関するミニ講義で、2部が学生も交えて机ごとに分かれたフリー雑談タイムである。
K家先生の授業トークを聞くのは初めてだが、大変分かりやすくて参考になる。これは学生に聞いてもK家先生の授業のことをよく覚えているわけだ。
月曜日の学部2年生向けの授業で「オートマトンはコンパイラにも関係する」という話をしたところ、F本先生が慌てて「コンパイラというのは」という補足をされて、それで初めて「あっ、2年生はコンパイラをそもそも知らない可能性があるのか」と冷や汗をかいたものであるが、学部1年生や2年生が何を知っていて何を知らないか、やはり教員歴が長い人の話し方を聞くと勉強になるものである。(ちなみに一応学部1年生後期にある半必修科目のプログラミング基礎の授業で、全員C言語のコンパイラは使っているはずだが、それを「コンパイラ」だと認識していない模様)
フリー雑談タイムでは1年生からそれぞれ質問を受けたりしていたが、半分以上の質問は授業をどう履修するかという相談で、修士の在学生に助けてもらう。単位を取るのは難しいですか、という質問は、難しいと答えても易しいと答えてもあまり情報量がない気がするが、やっぱり不安なんだろうなと思い、なんとかなるから安心して、と伝えておく。
また、やや意外であったのは、かなりの人数が(ビデオ)ゲームを作りたいから情報通信コースに来た、と言っていたことで、確かに学部3-4年生も雑談で聞いてみると趣味はゲームという人が多いし、そういう動機で来る人が少なくないのかな。そういう形で身近なところから興味を持ってもらえるのは得をしている分野だと思う反面、ほとんどの人がゲームを作らないで卒業していく(仕事にもしない)のを見ると、これでいいのかなとも思う。
もちろん、入ってきてもらってから、ゲーム以外にもおもしろいことはたくさんあるということを知ってもらって、出るときには入るときには思いもよらなかったことができるようになって、自分の世界を広げてもらう、というのがやりたいことであるが、一つくらい、情報通信システムコースでもアプリとかサービスとかゲームとか作る授業があってもいいんじゃないかな?(現状、ゼロなので……)
それに関して、最近読んだ「教養としてのプログラミング講座」がおもしろかった。
- 作者: 清水亮
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/04/11
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筆者は「プログラミングをする敷居が劇的に下がってきていて、毎週1本新しいゲームを作ることを宣言し、1年間続けることができた」ということを書いているが、もはやプログラミングは情報通信が専門の人の専売特許なのではなく、何かを作りたい人が道具として利用するものであって、何かを作りたいという強いパッションを持っていることのほうが大事なんじゃないかな、と思うのであった。それで周りを振り回したり、破れかぶれでとんでもないものができることも往々にしてあるが、失敗から学ぶ人であれば、やり方は経験を積めば改善されていくので、あまり問題じゃないと思う。逆に、何かをしたい、作りたい、というモチベーションはあとからどうにかできるものではないし……。
オリエンテーションのあとは日野に戻ってきて翌日に紹介する論文の選定をする。前日の夜に選んで読むというのはかなり泥縄だが、年度初めはイベントが多すぎて首が回らない。それでも、どんなイベントが次に来るのか分かっていなかった去年よりはましかなぁ。