難しいことを簡単に説明するのが難しい

三連休の中日なのでゆったり過ごす。といっても査読だけど……。

研究室にある本も少しずつ裁断する。これまで縦長でスキャンしていたが、横長にスキャンすると (読み取らなければならない紙のフィードが少なくなるので) 1.5倍くらい高速になる。Acrobat で奇数ページと偶数ページに分けて90度ずつ右回転・左回転させなければならない (このために「白紙削除」をオンにすると困ったことになる) が、いずれにせよ表紙と背表紙は別に分けてスキャンして合成しているわけだし、回転くらいは10秒もあればできる操作なので、これまで1時間に10冊のスキャンが限界だと思っていたら、15冊くらいいけそう (文字認識は遅いので切っている。どうせ時間のあるときに Acrobatバッチ処理すればいいだけだし)。

ふと「検索エンジンはなぜ見つけるのか」を読んでみた。

検索エンジンはなぜ見つけるのか

検索エンジンはなぜ見つけるのか

これは恐ろしく分かりやすい本で、たぶん (情報処理の素養がない) 中学生が読んでも分かるように、検索エンジンの仕組みが書かれている。だからといって内容に手抜きがあるわけではなく、double array とか PageRank とか、重要なアルゴリズムを (「これは専門的にはこういう名前で呼ばれています」などどさらりと) 紹介されていて、これは並大抵の本ではない。

もちろん、数式などを使って説明されるほうが分かりやすい人には、この本は全く適当ではない。逆に、数式が出てくるだけでそこを飛ばしてしまうような人は、この本であれば全く飛ばさずに読むことができるので、その意味で画期的である。(もっと詳しく知りたい人は、それぞれ次に読むべき本や論文が紹介されている。この点も「もっと知りたい人がいたら検索すればすぐ見つかるでしょう」などと書いて平然としている「入門書」なんかと比べると、遥かに良心的である)

これくらい「直観的」な説明ができるようになりたいなぁ。難しいことを難しく言う、簡単なことを簡単に言う、というのはどちらも楽な話なのだが、難しいことを簡単に言う、というのは相当困難だと思うが……。簡単なことを難しく言って得意気な人もたくさんいるが、本当に大変なのは難しいことを簡単に、そして簡単なようでいて正しいことをちゃんと説明する、というところなのである。

参考