言語を学ぶ過程を見て学ぶこと

先日のエジプト語の話に触発されて NAIST 図書館で「古代エジプトを発掘する」を借りてきて

古代エジプトを発掘する (岩波新書)

古代エジプトを発掘する (岩波新書)

読んでみた。実は自分も中学生のころはこういう遺跡ものが好きで、中2のときは世界史の授業でピラミッドについてレポートを書いたりしたので、おぼろげながら記憶があったり。遺跡発掘というときらびやかな黄金の装飾品が出てきたり、完全な形のミイラが出てきたり、といったことを想像しがちだが、実際の作業は粉々になった陶器の破片を一つ一つ貼り合わせたりだとか、炎天下の中砂を掘ったり全力疾走したりだとか、そういう生々しいところにスポットライトを当てて書いてあって、おもしろかった (きっと中学生のとき読んでいたら、「つまらない」と思っていただろうが)。

エジプト学で思い出したが、吉村作治さん、確か学芸大附属高校を出られていて、「東大実戦模試」なんかでは毎回成績優秀者のトップに載るくらいだったのに、なぜか本番を突破すること叶わず、駿台で2浪くらいして東大は断念して早稲田に進学し、最終的に日本におけるエジプト学の泰斗となられたことはみなさんご存知の通り。(と思ったら Wikipedia にも エピソードが書いてあった) 人生捨てる神あれば拾う神あり、うまく思うように行かなくても諦めないで挑戦し続ければ道が拓けることもある。

午後から研究会と国際会議の発表練習。トーク20分のところ、12分だとさすがにまずいか……。

最近少しずつプログラミングをやりたくなってきたので、「7つの言語 7つの世界」を読んでみた。(タイトルからは英語とか中国語とかの話かと思う向きもあるかもしれないが、プログラミング言語のお話である)

7つの言語 7つの世界

7つの言語 7つの世界

取り上げられているのは

という7つの言語。どの言語もまともに書いたことないので、参考にはなったが、やっぱりあまり詳しくない言語を含めて1人がまとめる、という構成には無理があるような。たとえば、Clojure の章なんか、Clojure の説明じゃなくてほとんど Common Lisp の説明だし、Prolog の章も、よく知らないで書いている感満載で (内容は悪くないのだが……)、読んでいて不安になるのである。

とはいえ、著者自身が (すでに知っていた Ruby 以外の) 言語を学んだ体験記、という意味では類書がないおもしろい本だと思うし、それぞれの言語の専門家にその言語の「心」をインタビューしているところとか、なるほどと得心が行くところもところどころある (たとえば「この言語を過去に戻って作り直せるとしたら、どこをどう作り直す?」といったようなことを、その言語の開発者に聞いたりとか)。この本、それぞれの言語を学ぶための本なのではなく (そういうのを求める人は個々の言語の本を繙くべし)、読み物として読むべき本なのだろう。