「プラダを着た悪魔」とがむしゃらに働くこと

@taku910 さんが火曜日と水曜日だけ関西に来ているということで、NAIST に立ち寄ってもらう。お昼は @shirayu くんと @seijik42 くんとの4人でお蕎麦を食べる。仕事の話をお伺いしたり、大学での仕事の話をしたりなど。

「学校でちゃんと身につけてきてほしいのは、プログラミング能力でも数学や英語の能力でもなく、ホーレンソー(報告・連絡・相談)。約束を守る、という最低限のことはできてほしい」という話、身につまされる。NAIST は世間から一歩離れた場所にあるので、研究室に出てくる人の割合は都会にある大学より多いとは思うが、松本先生も「自分がされて嫌なことは学生にはしたくない」とおっしゃっているので、なにかを強制したりされたりするようなことはないしな〜 (それが心地よい人が来るものだから、それでいいと思うけど、社会的な要請には応えられていないのだろう……)

午後は TechTalk をお願いする。Google 日本語入力について話してくださる。半分程度は先日の言語処理学会の年次大会での話だったが、半分程度初出の話もあり、楽しめた。理論的にもプログラミング能力的にも優れた人たちが束になって開発していると、もはや1-2人でぼちぼちやっている研究では追いつけないところに行ってしまっているのでは、と思ったり。

夕方5月に東京である NL 研に出す予定の人たちの発表申し込みにつき合う。今回は3件。 実験結果がまだ微妙な人はもうひとがんばりしましょう :-)

夜は @taku910 さんとかしき屋福茂千 本店へ。何件かある店のうち、本店はたぶんまだ行ったことがなかった。大学の仕事、会社での仕事などの相談に乗ってもらったり。@taku910 さんも2005年くらいからいまの会社で働かれていると思うが、新人の面倒を見るという立場でもあり、自分も大学で学生の人たちの面倒を見るという意味で共通していて、いろいろと共感できる。

「大学の仕事はつらそう」と言われることあるのだが、自分としては「大学の仕事は難しい」「大学の仕事は大変」と思うことはあっても、「つらい」と思ったことはないな〜。「おもしろい」と思ったことはよくある (常にそう、というわけでもないけど。「おもしろくない」と感じる仕事は自分的には1%くらい)。

先日奈良先端大の図書館で買ってもらった「外資系トップの仕事力」

をぱらぱらと読んでいて (社長とか CEO の人のインタビュー集)、「外資系なんて言葉は日本だけのものだ」とかいう話は置いといて、仕事の仕方や考え方は参考になる。

日本オラクルの社長の新宅さんの「リスクなんて家族を食わせていけるがどうかだけで、それ以外のリスクなんてないし、家族くらいなら自分は食わしてやれる自信はある」「10仕事をして10成功させた人が評価されるかというと、そうではない。ポテンシャル、伸びしろも評価する。成功したかどうかだけでは評価できない」という話とか、マッキンゼーのディレクターの平野さんの「仕事をするのは株主のためでも上司のためでもなく、クライアントのため。依頼された仕事に適任な会社があれば他社でも紹介する。どんなに高額なプロジェクトを取っても、金額だけで評価されるとはない。マッキンゼーでは、どれだけ仲間を助けたか、が最重視される」という話も。

あとアーサー・ヒューマン・リソースコンサルティング社長の柴田さんの

 第一志望の会社に入れなかった、というのも決してマイナスではありません。かつて次世代リーダーの育成モデルを探っていた時、「第一選抜組」と言われる、同期トップを走る人たち三〇〇人にインタビューしたことがありました。早く選抜される人には共通項があった。その第一が、第一志望で入社していないことだったんです。そして二つ目が若いうちに修羅場を経験していること。三つ目が、海外だったり、まったく違う事業をしている子会社であったり、異文化の中に放り込まれた経験があることでした。(p.41)

という話もおもしろい。第一志望ではないところだと、同期がすごいやつらばかりといったことはないかもしれないが、別にその中でリーダーになればいいと思うし、NAISTのように文系から理転する人も割合いる大学では、分野を変えた経験というのは自分の幅を広げるために役に立つだろうから、どんな環境に行こうと(それが自分の希望通りでなくても)しばらくはその中でがんばるのがいいんじゃないかなぁ、と思うのである。1年経っても状況が好転しそうになければ、環境自体を変える(変わることを期待する)のは諦めて離れることも検討したほうがいいかもしれないが……。

最近学生の人の話を聞くと、明確な評価基準が知りたいとか、全部成功させたいとか、そういう考えを持っているようなのだが、泥臭いけど目の前の仕事に全力で取り組むとか、あるいはどういう失敗から学んできたかも大事だし、人生急ぐことないんじゃないかなぁ、と思ったりするのだが……。