言語処理学会年次大会懇親会雑感

朝昨日と同じく9:30開始だと思って9:20に来たら、実は9時開始だったらしい……なんという罠。

お昼は @kidayasuo さんと @mhagiwara さんと食べる。中国語処理はなかなか難しそうだが、今後(日本でも)必要になってくる技術の一つなんだろうな。@mhagiwara さんが総会に出るために抜けると @tkng さんと @nokuno さんが合流。フォントの話をしたり電子書籍の話をしたりなど。最近電子書籍を購入したりして読んでいるのだが、いつでもどこでも買えるのは便利。ただ、紙の本が好きな自分としてはちょっと寂しいところもある。装丁も気合いが入っている本とか、手に取るだけでほれぼれする本もある(自分的には普通の本で紐のしおりが2本入ってたりするとポイント高い)し、紙の本もそうでないものも、棲み分けていく過渡期なんだろうとは思う。

招待講演の1つ目はJTF田中千鶴香さんの「実務翻訳の現状と未来」がおもしろかった。NLPの人が、というか大学の人が「これは役に立つはず」と言ってやっていること、実は現場では役に立たないのかも、と思ったり。
(2011-07-15 追記) 実際の翻訳現場の話だが、SDL (業界最大手) の Trados だと、翻訳メモリも100%マッチの他に曖昧検索 (これはほとんど用例翻訳と同じだと思うが) に加え、Language Weaver が作っている統計的機械翻訳のモジュールもあり、翻訳メモリにマッチしなかったものは統計翻訳エンジンで翻訳される、という話。普通に統計翻訳が現場で使われているのか、と思って自分としてはびっくりした。もっと実務と統計翻訳は離れていると思っていたのだが、思ったより近いのかもしれない。

招待講演の2つ目は辻井先生の「自然言語処理では BLEU や「精度・再現率」のような自動評価尺度を使って評価した気になっているが、背景の理論に対する理解がなければこれは疑似科学だ」という指摘は、今回の年次大会でも「評価が大問題だ」ということが何回か話題になったように、頷けるものである。割と「科学」っぽく見えてしまう言語学はこういう問題を内在しているのだが、自然言語処理の核となる理論がそもそも一枚岩ではないので、言語学自然言語処理の関係は単に「使う側」「使われる側」という区別ではなく、ちょっと微妙なのかもしれない。(この件については時間のあるときにもう一度考察したい)

ポスターを挟んで休憩場で一休み。@tarowatanabe さんとお話したり。NAIST でも英語プレゼンテーション法入門英語プレゼンテーション法といった授業はあるのだが、具体的な研究発表の練習や教育指導は各研究室が面倒を見る、という形かな。松本研は対外発表の前に最低1回は研究室内で練習するが、これで十分かと言われるとそんなことはなく、人それぞれなんではないかと思う。自分は Microsoft Research にいたときも Apple にいたときも社内の「プレゼンテーション入門」的なセミナーに出て、大いに参考になったが、そういう TPO に合わせた話し方のセミナーがあるといいかも。

日航ホテルで懇親会。会費が高いせいか年上の人とあまり交流したくないのか、学生の参加が少ない。学会の運営費に余裕があるなら、もっと学生の参加費をディスカウントすればいいのにな〜。若手の会の懇親会は4,000円でも29/65とだいたい半数が学生だし、学生料金を2,000〜3,000円くらいにすれば参加も増えるのでは (その分料理の減りが加速するので参加費高くなりそうだが……)。

帰りは @overlast さんと @nokuno さんと徒歩 + タクシー。週末からシリコンバレーツアーで1週間アメリカに行かれるそうで、いろいろ楽しそうだなぁとうらやましい。自分もまた行きたいなぁ。