年末年始は根津で寝正月

朝イチの近鉄に乗りそびれ、30分遅れの新幹線に乗る。午後に用事があったのだが、午前中は「範疇文法と証明論」シンポジウムに出ることにしたのである。

会場に着いたらちょうど窪田さんの発表が終わったところだった。最初から聞きたかったので残念……。

セッションが終わったあと窪田さんに「いま奈良にいるんですよ」というお話をしに行く。自分のこと覚えてらっしゃるかなと思っていたが、「以前お世話になりまして」とお話したら「小町さんですよね」とすぐ言ってくださって感激。自分も人の名前を覚えるよう努力しないと!(最近は Twitter id やアイコンは覚えていても名前が出てこないことがたくさん)

実は窪田さんとの出会いはかれこれ10年近く前に遡る。教養学部にいたとき、哲学の授業と同じくらい言語学の授業も履修していたのだが、その中で Syntactic Theory

Syntactic Theory: A Unified Approach (Hodder Arnold Publication)

Syntactic Theory: A Unified Approach (Hodder Arnold Publication)

をテキストにした言語学(統語論入門)の授業を履修していて、そのときの TA が窪田さんだったのである。ほぼ毎週課題があったように記憶しているが (いま当時の課題の TeX ファイルを確認したら全部で8個だったので、ときどき飛んでいたのかもしれない)、毎回真っ赤に添削されて返ってきた記憶がある。

基本的に人文系のレポートでこんなに添削された経験がなかったので、言語学ではここまで添削されるのか、とカルチャーショックを受けるとともに、毎回のコメントが的確で、大学院生ってここまですごいのか、と畏怖の念を抱いたのを覚えている。哲学ではなく言語系の大学院に進学しよう、と思ったのも、窪田さんの影響が少なからずあったと思う。(いま確認してみると窪田さんは2002年にしかこの授業の TA をしていないみたいだったので、自分は幸運だったのだと思った)

@cacahoさんや@hikaruyさん、M尾さんやM崎さんも来ていて、M尾さんからは「あれ、また小町さんいるんですか。神出鬼没ですね」と言われるが、確かに @hikaruy さんとはこの1ヶ月で5,6回お会いしているような気がするし、なんだか東京にいるのだか奈良にいるのだかよく分からなくなってきた (汗)

休みを挟んで@kaleidotheaterさんのCCGの話。ちょっと時間が短くて微妙によく分からず (論理学と組み合わせ範疇文法との関係を明らかにしたという話かなと思ったが)。ちょっと宣伝があったが、@kaleidotheater さんの書かれた

(日本語研究叢書24) 日本語文法の形式理論 - 活用体系・統語構造・意味合成

(日本語研究叢書24) 日本語文法の形式理論 - 活用体系・統語構造・意味合成

はまだ注文していなかったので、注文しておこう。

午後茗荷谷から立川に移動し、国語研で共同研究の打ち合わせ。13時開始だったので15時くらいには終わるかなと思っていたら、16時過ぎまでいろいろ議論があって勉強になった。@togiso さんが「国語学出身の立場からすると、自然言語処理の技術というのを知ったとき「こんなこともできるんだ!」と目が開かれたので、もっと自然言語処理の技術に抵抗感がない人を増やしたい」ということをおっしゃっていたが、同感。

単に単語の分かち書きをしたいだけなのに全部人手で見ている人がいたりすると、ChaSen をかけたあと間違っているところだけ直せばいいんじゃないかなぁ、と思ったりするので、人間がやるべきところ、機械に任せていいところ、それぞれうまく取り入れてやっていくのがよいと思う。

あと、自分は自然言語処理の中では機械学習の理論バリバリというわけでもなく、アルゴリズムやデータ構造のスペシャリストというわけでもなく、言語寄りの立ち位置にいると思っているのだが、逆に言語寄りの人たちからすると相当工学(数学?)寄りなんだな、と改めて思った。普段から人文系の人と喋るときは、プログラミングの話や機械学習の話は避け、どうやっているか・なぜそうしているかではなく、何に使えるか・どう使えるかを話すよう心がけているのだが、まだまだ甘いなと反省。

しかしこういう人文系の人に喜ばれる研究というのも大学ならではの研究だと思うし、気長に続けていきたいものである。

夜は実家に帰り、家族の近況を聞いたりなんだり。年末の予定は、と聞かれて

「年末は29日から根津に帰るよ」
「それは大変じゃない。それで、年末はどうするの?」
「いやだから根津に」
「年末はこっちに来ないの?」
「1月2日まで根津で過ごすんだってば」

と話が噛み合なかったが、なんのことはない、「根津に」というのを「寝ずに」と聞き違えていたという。さすがに腰も痛めたしもう夜行バスで帰ったりはしないと思う……。Wikipedia によると元々から住んでいる人は「ね」にアクセントを置くらしいのだが、最近は「づ」に置く人も多いとか。

西東京市議選が日曜日に控えているそうで、市議選についていろいろ聞いたが、西東京市もずいぶんと変わってしまったようだ。再開発で駅前が整備され、若者が住むようになって飲み屋がぼこぼこできたりしているのだが、高田馬場で1次会をしたあと田無まで来て2次会をしたりとか、なにか買い物があったら田無に来て買い物をする人がいると聞いてびっくり。

昔から単なるベッドタウンだったし、ずっとベッドタウンでよいと思うのだけど、どんどん開発・人口集中する方向に行くなら、もはや自分は田無には戻りたくないなぁ。父も兄も通勤電車がひどくなったと言っていたが、父は毎朝早めに出て各駅停車に坐って通勤するくらいらしい。10年前の段階ですでにありえないと思っていたのに、それよりさらにひどくなっているって、どんだけ人口集中しているんだ……。