I was engineered.

妻が「この映画よかった」と薦めてくれたので、私の中のあなたという映画を観てくる。冒頭 "I was engineered." というフレーズから始まるのだが、白血病の姉のドナーとなるために遺伝子操作によって産まれた妹の視点から見た、病気と闘う家族の物語。原作は患者となる姉の視点から描かれたものらしいが、たぶん映画にするに当たって変更したのだろう。

人工授精技術によってこういう事態が起こりうる世の中になっているわけだが、なにがいいかなにが悪いかといったことではなく、誰にもに起こりうる生と死を淡々と描き、すっからかんに明るいわけではないが、ずっと暗いムードなわけではなく、穏やかに毎日が過ぎていき、楽しいこともあるし悲しいこともある、そういう日常。

自分が死ぬときってどんなだろう、と先週ひとりでふらふらになりながら考えていたのだが、お金があったらホスピスに入って痛みだけ抑えてもらって穏やかに生きたい、と思っていた。ただ、尊厳死安楽死紙一重だし、妻や子どもや孫に「死なないで」と言われたら、彼らが納得するまでがんばるとは思う。自分の身体だけど、自分だけのものではないし、生きるのも自分で決めて産まれたわけじゃないし、そうしたら死ぬのも自分で決めて死ねるわけじゃないと思うし……

この映画、音楽がきれいなので、それで話がじんわりと心に染み入るのかもしれない。いろんな映画館で上映されているので、時間ある人はどうぞ。(NAIST 最寄りは高の原のワーナーマイカルシネマ)