自分自身ブラウザは Firefox/Safari/Opera の三刀流(場合によってはまだ w3m も使う)なのだが、Windows だったらもう IE でいいじゃん、と思ってしまう自分的には、Microsoft がどうやって覇権を握ったのか知りたかったので
- 作者: マイケルクスマノ,デイビッドヨッフィー,Michael A. Cusumano,David B. Yoffie,松浦秀明
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1999/05/01
- メディア: 単行本
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を読んでみた。簡単にまとめると
- Netscape は当初 Microsoft と直接対決しないことでシェアを獲得した。
- シェアウェアのように最初無料で配って一定期間ののちに(競合する他製品に比べると信じられないほど安い)使用料を払うというビジネスモデルは当時斬新で、一気に覇権を握った。
- Netscape は途中から Microsoft に敵対することで Microsoft の逆鱗に触れた。
- そもそも Microsoft と比べて Netscape は開発力もテスト力も資金力も劣っていたので、正面勝負しては勝てなかったのに、ニッチな分野で成功を収めて勘違いしてしまったのが敗因。
- Internet Explorer は無料で配られ、多少なりとも代金を取っていた Netscape その他のブラウザは太刀打ちできなかった(結局他のブラウザも無料にせざるを得ないが、そうすると資金のないところから潰れていく)。
- Netscape は他のパッケージソフトなら社内テスト中くらいの質が低い状態でも短いサイクルでベータ版としてリリースし、インターネットユーザにテストしてもらうという手法を広めた功績がある。
ということかな。
強調されていたのは Microsoft はあんなに大企業なのに動きはベンチャー企業並みに素早い(技術のトレンドを察知して、社命をかけるような決断をすることができる)、ということで、確かにそうだよなぁ、と思うのであった。
Netscape も Microsoft を怒らせないで(つまり本気を出させる前に技術力で圧倒的な優位を築いておき、資金も用意する)いたらなんとかなったのかもしれないが、こればかりは後知恵だから言えるわけで……。Google はそういう意味では Yahoo! や Microsoft が本気を出す前に技術的に大きく差をつけたので、過去の事例に学んだのか、それとも意図せずそうなったのかは分からないが、さすがに賢い。特に2番目のポイントが Netscape に致命的な打撃を与えたので、そうならないようにすると……
しかしこの本(聞いてはいたけど)翻訳が悪い。明らかにこの分野のことを知らない人が訳していて、しかも専門家のチェックも受けていないようである。元の文章を想像して読むと読めなくもないが、勝手に意訳されていたりして元の単語が皆目見当つかない場合はどうしようもない。毎日新聞社が出版元らしいが、編集(企画?)の人ちゃんと仕事してほしい。