試験の採点だけで日が暮れる

午前中、週末に来たメールの返事。週末や夜に来たメールは、読んでも原則返事はしないことにしているのだが、読んだ瞬間返事できるものはすぐ返事したほうが再度読み返す手間を省けるので、悩ましい。トータルでメール処理に費やす時間を減らせたとしても、家ではiPhoneiPadしか使わないしな〜。最初からそもそもメーカーを見ないのが、一番時間を節約できるのかもしれないが……。

昼から言語教育勉強会。いろいろあって発表者が変わり、[twitter:@keiskS] くんの進捗報告。これからやりたい研究、ということだったが、自分がやろうと思っている研究とけっこう近い (同じ研究室で、一緒に研究をしてきているので当然ではあるが)。自分ももっと大きなビジョンを持って研究しないとな〜。

夕方は授業の小テストの採点と成績入力。履修してくれているのは40人くらい (1学年50-60人中) なのだが、これだけで4時間かかった……。世の中の教員の人たちはすごいものだと思う。そして、成績を入力していて、履修登録していないのに試験を受けている人がいることに気が付く (汗) これまで中間試験の採点はしていたのだが、一覧にまとめていなかったので見落としていたようである。本人に確認したら、登録していると思っていた、とのことだが、こんなこともあるんだなぁ。

夜は授業の準備。毎度のことであるが、今回はとうとう家に帰れたのは午前3時過ぎ。週たった1コマの授業をするだけでこんなに大変なのに、週14コマやっている人っていったいどれだけ忙しいのだろうか……。

そういえば、先日本屋に行ったら「工学部ヒラノ教授」が新潮文庫になっていた。

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)

自分は単行本で読んだのだが、企業に就職中にスタンフォードに留学を経て筑波の助教授、東工大教授、そして最後は中央大教授を歴任した「ヒラノ教授」が筑波時代の教員と当局の死闘や東工大時代の大学院立ち上げにかかわるゴタゴタなど、理工系の大学教員の生態について「ここまで書いていいのか」と思うくらい赤裸裸に書かれているのが印象的であった。「文学部唯野教授」みたいなのを見て、大学教員は暇でほとんど仕事をしていない、というような印象を持たれている方が多いような気がするが、少なくとも工学系の教員はこの本に書かれているような感じでとびきり優秀な人たちが猛烈に働いている、というのが実態だと感じるし、「先生は夏休みがあっていいですね」なんて言われると、世間の認識はそういうものか、と少しさびしくなるものである。そもそも夏休みは学生から見たら夏休みであるが、教員から見たら授業がないだけで仕事はあるし、そもそも首都大学では教職員にはお盆休みもない (「夏季休暇」として自分で連続する数日間を有給休暇にできるので、休みがないわけではないが)。

大学教員の生態に興味がある人には広く読んでいただきたい本であるが、大学に残って研究をする可能性がある (理工系の) 学生の人たちは、この本を読んでそれでも教員になりたいか?というのを自分に問うてみたほうがいいのではないかと思う。

あと、中をパラパラとめくってみると、文庫版あとがきと解説が新たに書き下ろしになっていて、追加された解説 (東工大の元学長による裏話) がまた生々しい。学内の調整 (工学部と教養部のポストの貸し借り、というか割譲) とか、文科省とのやりとり (職員 OB から言外に「学長のくせに出しゃばり過ぎ」と電話が来たり) とか、「長」と名のつく人はこんなに大変なことをしているのかとなんだか気の毒な思いである。これは学部長や学長って、研究が好きな人はやりたくない仕事の筆頭だろうなと思うのである。大学の中にいる人でないとイメージできないかもしれないが、「学科長」「専攻長」みたいな仕事は、研究や教育が優れているからなるというようなものではなく、持ち回りでやらないといけない仕事の一つなのである。かなりの時間が取られるのであるが、誰かはやらないといけないので、持ち回りでやることになっているのではないかと思われる。「学部長」や「学長」は、それらと比べると人数が少ないので、固辞すれば逃げ切れるものではないかと思うが……(なんだか学級委員を押し付け合っている小学生みたいな話だが)

ちなみに、文庫のカバーを見て新たに2冊「工学部ヒラノ教授と七人の天才」「工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行」もこの数ヶ月に出版されていたことを知ったので、Amazon で注文して読もうと思う (笑)

工学部ヒラノ教授と七人の天才

工学部ヒラノ教授と七人の天才

工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行

工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行