Yahoo! サジェスト

知っている人は知っているだろうが、最近 Yahoo! の英語版はかなりアグレッシブに検索クエリの展開をする。たとえば http://www.yahoo.com/ に行って ipod touch と入力する(しばらく待つ)と、以下のような感じで(動的に)ポップアップする。

ここで出すのは単に共起しやすいフレーズだけのようだが、それで ipod touch を検索し、さらに検索しようとすると以下のようになる。

ここでは "Explore concepts" というところに少し毛色の違う検索結果が出てきて、どうもここに何が出るかは検索クエリ依存のようだが、ヘルプのWhat is Search Assist?を見ると、類似した用例を使うことでクエリを適切なものにする(query refinement)ための補助をするもののようである。

検索をよくするために各社があの手この手を試しているのだろうが、基本的なアルゴリズム部分は大体どこで作ってもそんなに変わらない(検索エンジン高速道路理論?)ので、それ以外のインタフェースとか使い勝手の部分でみんな差別化を図っているのであろう。検索エンジンを作るのが難しいと思っている人はBaidu日本語版の検索を試してみるとよい。恐らく日本人エンジニアは id:mizuno_takaaki さんしかいないと思われるのだが、かなり検索結果はいいように思う(広告もないせいか速いし)。ただスペル訂正とか関連検索とかそういう使い勝手をよくするための機能がないのである(そしてそれが Google を使う大きな理由の一つであると思うのだが)。

ryu-i さんと katsumasa-y くんと3人で夜食のカレー食べに行った帰りに話したのだが、先日紹介した検索エンジン戦争も現在は Google/Yahoo!/Microsoft(Live Search) とあと A9.comの3強+1だとまとめているが、今行ってハイリスクハイリターン的におもしろいのは百度や A9 かなと思う。特に A9 は Amazon.com のデータにアクセスできるので、購買意図に紐付いた(良質の、しかもパーソナライズされた)データが膨大に使えるのが大きい。商品購入意図に限定した検索エンジンとして作り込めば、かなりニッチなシェアが獲得できるのではないかと思う。(たとえばこんな職種を募集している)

Google が最初善良なフリして(そうでなければ他の検索エンジン会社はここまで放っておかなかっただろう)着々とここまで巨大になったように、A9 もいまはおとなしくしているが、そのうち「商品検索のデフォルトエンジン」として各種ショッピングサイトのバックエンドとして使われ、そのうち各社も商品検索の重要性に気がついて自社開発を始める、とかいうような流れになるのかなと予想している(ちょうど Yahoo! など軒並み Web 検索を重視せず検索エンジン部は Google を使っていたのに YST の自社開発に踏み切ったように)。

検索エンジン会社にとってたぶん2つのタイプの検索があって、一つは広告(= お金)につながる行為という意味の検索と、もう一つは常にデフォルトの検索エンジンとして使ってほしいという意味の検索で、前者を実現するためには検索の意図分析が重要で、後者を実現するためには(Google がやっているようなスペル訂正や関連検索のような)細かいインタフェースの改善が必要で、後者には自然言語処理の技術がかなり貢献できる領域だと思うのだけど、こういう分野のおもしろさってあまり伝わりにくいのかな〜って思う。