語義曖昧性解消

昨日の輪読で松本先生が教えてくれた Two Languages Are More Informative Than One という論文の eric-n さんによる紹介。語義曖昧性解消というのは、ある単語が複数の意味(語義)を持つとき、その文中でどの意味で使われているのか当てる、というもの。

原言語側でがんばって語義曖昧性の解消しないでも目標言語側で自然に曖昧性が解消されることもある、という考え方がおもしろかった。松本先生の話でもちらっと触れられていたが、たとえば日本語と英語での機械翻訳を考えると、日本語と英語はフランス語と英語ほどには語彙体系も構文構造も似ていないので機械翻訳が難しい、と思っていたのだが、ここで二言語を用いて語義の曖昧性解消をするとなると、逆に二言語が離れていれば離れているほど語義曖昧性の解消には役立つ(似た言語だと曖昧性が二言語間で保存される)、というのは興味深かった。

最近2000年以降の論文と1990年代前後の論文を交互に読むことが多いのだが、昔の論文も温故知新という感じでとても勉強になる。90年代の論文でもしっかり理論の限界とか問題点とか書いてあって、いまでもそのまま問題点として残っていたり。分野によっては10年前のものでも全然状況が変わっているところもあるだろうし、哲学のように400年前のものでも問題なかったり、といろいろ違いはあるだろうが、月日が経ってもまだ残っている論文というのはやっぱりおもしろいとみんなに認められているから残っているんだと思う。