競争が激しい分野は研究開発に投資ができない

独占企業の方が、研究開発は盛んになるというエントリーが参考になる。

これは一瞬、直感に反するよね。
独占企業は、競争がないのだから、わざわざ研究開発に投資する動機に乏しいんじゃないか、と思う。
逆に競争が激しいほど、研究開発に投資して、他社を先んじようとするのではないか、と直感的には思う。

ところが、歴史を見ても、研究開発により投資して来たのは独占企業なのだ。

から始まるのだが、確かにその通り。もちろん、大学における研究を無視しており、企業における研究開発にのみ注目しているのではあるが、それはそれで別の問題。

研究における動機と効果の乖離という記事では

基礎科学は役に立つものを生み出すことを目指すものではないのだが、それは基礎科学的な研究の結果、役に立つ研究成果が出てくることを妨げるものではない。何しろ、基礎科学というのは未知の領域を研究するので、何が出てくるのか、分からないのであり、いつも役に立たない成果しかでないということも分からないのである。実際、過去にこれまで何度となく、基礎科学から極めて有用な知識が得られたし、逆に、大きなブレークスルーは基礎科学から出るとさえ、いわれることもある(これらの考え方についてはいろいろ問題もあるのだが、それについてはまた別に書く)。
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研究が大規模化して、費用がかさむようになったり、研究費を出す側が困窮して、無駄を省かなければならなくなったりして、科学研究の動機とか、意義とかについての原理的な説明が必要になると、この矛盾が表面化することになる。基礎科学の研究者が個々の研究について社会に対し、その意義を説明すると、本人は楽しくて研究しているだけなのに、突然、それが何の役に立つのか説明させられ、心にも無いことを言わざるをえないわけである。ノーベル賞ぐらい取ると、役に立たないと堂々といえるわけだが、役に立たないならやめましょうといわれるような立場にいる研究者はそういうわけにはいかないのである。

という指摘がなされており、自分としてもこちらの心情もよく分かるのだが、約に立たないかもしれないけど楽しいからやってます、と言い切れる人はどれくらいいるのだろうか……。