この週末は2日ともほぼ(食事の時間以外)ワンオペ育児になる予定なので、上の子に行きたいところを聞いたところ、土曜日はまた井の頭公園に行きたい、というので車で吉祥寺。午前中なので駐車場にもスムーズに入れたし、人も少なかったし、やはり吉祥寺に来るなら土曜日である。あちこちでハロウィーンの仮装をした子どもがいたので、上の子も仮装して来たかったようだが……。
午後は近所の子と遊んだが、何で遊ぶかの相談がうまく行かず、希望が通らなかったということで、上の子がシクシク泣いていた。気持ちは分かる。が、父は下の子(と近所の3歳の男の子の相手)で手一杯……。
妻と話していて、研究業績の定量化はどうする、という話題があったのだが、自分は最近 Semantic Scholar が良いと思っている。Google Scholar Citations の方が和文の文献も入っていて、結果も見やすい、という利点はあるのだが、アカウントを作っていない人は見られない、という致命的な欠点があるのである。その点、Semantic Scholar はアカウントを作っていない人の業績でも見られるので、比較しやすい。欠点としては、英語で書かれたもの以外は拾わないので、日本人の場合は日本語で主に活動している人は漏れが多いと言うことと、名寄せがうまくいっていないことがそれなりにあるので、同姓同名の人がいると(結局本人がアカウントを作って分離してくれない限り)変なことになる、というものである(他の人と混合されると見かけ上たくさん業績があるように見えるので、微妙にわざわざ分離しないインセンティブがあるような気がしている)。
たとえば都立大の情報科学科の教授・准教授 を Semantic Scholar と Google Scholar Citations で調べると以下のようになる。表は Semantic Scholar の h-index、次に重要引用数(Highly Influential Citations)の順にソートしている(機械学習によって論文の質を評価した尺度のようである)。見て分かるように、Google Scholar Citations にアカウントがない人が半分いるので、Google Scholar Citations ではカバー率が低いのである。一方、貴家先生や會田先生、山口先生のように、Semantic Scholar ではアカウントが分裂していて正確な数字になっていない先生方もいる。貴家先生と會田先生に関しては、分裂しているアカウントで変動する英語論文の引用数(!= 論文数)は1-2割なので大勢に影響はないであろうが(會田先生の業績が Google Scholar Citations で2倍に見えるのは、日本語の論文は Aida Masaki、英語の論文は Masaki Aida で別人にカウントされているからのようである)、山口先生に関しては同姓同名の人との混同が大き過ぎて、全然よく分からないことになっている。
学科内では小野先生がダントツであることは異論がなく、それ以外も大体こんな感じかな、という感じなので、近い分野で比較する場合には普通に使えるだろうが、分野が違うと比較しても意味がないので、取扱注意である(例えば前は「情報通信システム工学コース」という単位で、いろんな専門の人が混ざっていた)。あとは、和文論文誌が主な研究発表の場所だという人は、Semantic Scholar では圧倒的に評価が不利になるので、そこは割引く必要があると考えている。自分はというと5年前に、今後10年間で h-index を20にしたいと書いていたが、だいたい1年で1くらいずつ h-index が増えているので、2025年までには h-index が20になるかな、と思っている。分野によるとは思うが、h-index > 最初の論文が出てからの年数だと、ちゃんと研究をしている研究者、という話を見かけたことがあるので、自分的には h-index > 13 が目標で、今のところ h-index = 18 なので、なんとか踏ん張っているかな、と言うところである。
ちなみにナイーブな h-index は少なくとも
- 研究キャリアが長い人に有利(引用が伸びるので)
- 共著者数が多い分野や共著者数が多くなるようなスタイルで研究する人に有利(共著者数で正規化したりはしていないので)
- 自己引用することでハックすることができる(自己引用かどうか区別しないので)
という問題があり、異なる分野の研究者を比較するためには使えないし、増やそうと思えば増やせるのでこれで何らかの評価をするのは良くないと思っている。自分は研究者としてのキャリアは短いし、共著での論文投稿は内容に責任が持てない場合には断っているし、自己引用はダサいと思うから必要がなければしないし、自らに不利な尺度であることを理解して定点観測的にチェックしているだけである。
本学科は教授・准教授の数が14人で、そのうち3割くらいの人(うちだと4人くらい)が h-index 20以上くらいあると、あとはポジティブフィードバックでどんどんよくなっていく気がするのだが、下記の表から推測すると最初から h-index が20を超えている(日本国内では)スター級の(准)教授に来てもらうか、あるいは h-index は10前後だがその後10年くらいあれば20に到達するだろう、というような若手を採用して育てるか、という形になると思うが、前者も後者もなかなか難しい。前者はよほど環境がよくないと来てくれないと思うし、後者は選ぶ側の目とタイミングが合わないとうまく行かないだろう。自分は着任当初の2013年当時に h-index は 10 なかったし(その頃から h-index を調べている)、その時点でのアウトプットではなく、伸びしろを評価していただいたと伺ったが、研究者がその後どうなるかを予測するのは難しそう。
(2020年10月時点)
名前 | SS 論文数 | SS h-index | SS 引用数 | SS 重要引用数 | GS 論文数 | GS 引用数 | GS h-index |
---|---|---|---|---|---|---|---|
N. Ono | 254 | 29 | 3,769 | 274 | 345 | 4855 | 32 |
H. Kiya | 435 | 26 | 2,619 | 80 | 1642 | 4618 | 30 |
M. Komachi | 109 | 16 | 1,022 | 90 | 156 | 1382 | 18 |
M. Fujiyoshi | 138 | 16 | 776 | 35 | |||
H. Ishikawa | 209 | 16 | 1,090 | 33 | |||
M. Aida | 130 | 13 | 624 | 19 | 303 | 1285 | 18 |
Y. Takama | 263 | 13 | 865 | 21 | 285 | 1161 | 16 |
T. Matsuda | 76 | 13 | 722 | 45 | 173 | 950 | 14 |
K. Katayama | 98 | 13 | 613 | 17 | |||
T. Fukui | 61 | 11 | 485 | 15 | |||
T. Yamaguchi | 105 | 10 | 373 | 14 | |||
S. Yokoyama | 57 | 9 | 234 | 6 | 163 | 401 | 10 |
N. Nishiuchi | 63 | 7 | 215 | 7 |
(2021年3月時点)
名前 | SS 論文数 | SS h-index | SS 引用数 | SS 重要引用数 | GS 論文数 | GS 引用数 | GS h-index |
---|---|---|---|---|---|---|---|
N. Ono | 261 | 30 | 4,041 | 305 | 352 | 5108 | 33 |
H. Kiya | 434 | 27 | 2,849 | 93 | 1693 | 5015 | 31 |
M. Komachi | 125 | 17 | 1,131 | 101 | 214 | 1539 | 19 |
M. Fujiyoshi | 141 | 16 | 796 | 34 | |||
M. Aida | 130 | 13 | 666 | 20 | 319 | 1435 | 19 |
Y. Takama | 226 | 13 | 876 | 20 | 290 | 1211 | 16 |
T. Matsuda | 74 | 13 | 731 | 45 | 180 | 999 | 15 |
K. Katayama | 98 | 13 | 624 | 17 | |||
T. Yamaguchi | 215 | 12 | 799 | 20 | |||
T. Fukui | 55 | 12 | 517 | 17 | |||
S. Yokoyama | 56 | 9 | 223 | 7 | 169 | 429 | 10 |
N. Nishiuchi | 65 | 7 | 216 | 7 |
(2022年5月時点)
名前 | SS 論文数 | SS h-index | SS 引用数 | SS 重要引用数 | GS 論文数 | GS 引用数 | GS h-index |
---|---|---|---|---|---|---|---|
N. Ono | 278 | 33 | 4,489 | 319 | 389 | 5453 | 35 |
H. Kiya | 608 | 30 | 3,608 | 92 | 1827 | 5346 | 33 |
M. Komachi | 145 | 18 | 1,405 | 111 | 235 | 1703 | 20 |
S. Okamoto | 334 | 17 | 1,623 | 68 | 253 | 1630 | 17 |
M. Aida | 178 | 15 | 877 | 28 | 397 | 1525 | 19 |
Y. Takama | 279 | 14 | 932 | 21 | 296 | 1233 | 16 |
T. Matsuda | 99 | 13 | 773 | 49 | 190 | 1067 | 15 |
M. Fujiyoshi | 124 | 12 | 621 | 13 | |||
E. Sato-Shimokawara | 143 | 7 | 460 | 3 | 112 | 281 | 8 |
T. Fukui | 40 | 7 | 231 | 19 | |||
N. Nishiuchi | 71 | 7 | 220 | 7 | |||
S. Yokoyama | 51 | 7 | 184 | 6 | 182 | 440 | 10 |
K. Katayama | 49 | 6 | 111 | 6 |
(2022年11月時点)
名前 | SS 論文数 | SS h-index | SS 引用数 | SS 重要引用数 | GS 論文数 | GS 引用数 | GS h-index |
---|---|---|---|---|---|---|---|
N. Ono | 285 | 34 | 4,798 | 373 | 414 | 6321 | 38 |
H. Kiya | 624 | 32 | 4,002 | 110 | 1947 | 6336 | 36 |
M. Komachi | 158 | 19 | 1,618 | 159 | 272 | 2186 | 22 |
S. Okamoto | 338 | 18 | 1,783 | 63 | 288 | 2070 | 20 |
M. Aida | 177 | 15 | 889 | 31 | 414 | 1491 | 19 |
Y. Takama | 274 | 15 | 953 | 26 | 299 | 1248 | 16 |
T. Matsuda | 97 | 13 | 796 | 53 | 195 | 1180 | 16 |
M. Fujiyoshi | 123 | 12 | 640 | 18 | |||
S. Yokoyama | 55 | 8 | 205 | 8 | 246 | 777 | 14 |
E. Sato-Shimokawara | 145 | 8 | 502 | 3 | 114 | 315 | 8 |
T. Fukui | 40 | 7 | 233 | 25 | |||
N. Nishiuchi | 77 | 7 | 232 | 9 | |||
K. Katayama | 48 | 6 | 115 | 6 | |||
M. Nagai | 48 | 3 | 47 | 3 | |||
Wakako Fushikida | 7 | 1 | 5 | 0 |
Google Scholar と Semantic Scholar は名寄せがうまく行っていないようなので、時点間であまりに結果が上下するような人の解析結果は信頼性が低い(Google Scholar で自分でアカウントを作っている人は、そちらを信用した方がいい)。