ターゲット層と違うと分からない

午前中は昨日に引き続き国際会議の原稿にコメント。比較的仕事がない時期でよかった。ACL はいつも年度末で忙しい時期に〆切があるイメージだが、今年は NAACL と同じく12月〆切なので余力はあるのだが、1人しか投稿しないので(もう1人は ACL ではなく TACL に出してもらうことになった。ACL の査読システムがまともに動くと思えないので……)、これもなんとかなりそうである。あとは来年投稿が重なりそうなのは COLING と AACL-IJCNLP だが、これらは最大3-4件になるように調整しないといけないかなぁ(採択率を最大化したい)。

「わかりやすいパターン認識 第2版」を送っていただいたので、目を通す。

わかりやすいパターン認識(第2版)

わかりやすいパターン認識(第2版)

恥ずかしながら読むのは初めてなのだが、タイトルに恥じず、とても分かりやすい。研究するに当たって必要な知識が懇切丁寧に網羅されていて(あと、コラムがおもしろくて、学問の広がりが分かるとともに、この教科書では何を説明しないか、ということも知ることができる)、こんな本が日本語で読めるというのは日本人は恵まれていると思う。例も含めてきっちり書かれていると思うのだが、初版を読んでいないのでそれが改善されてそうなったのか、それとも元々そうだったのかは分からないが……(初版にはなかった演習問題が追加されている、というのはかなりプラスのポイントで、自習しやすくなったし、教科書にも使いやすい)

ただ、初版への Amazon リビューコメントを見るに、これを「分かりやすい」と思う人はすでにかなりパターン認識・機械学習が分かっている人のようで、初心者向けかというと、微妙な気もする。少なくとも、自分自身を思い返してみると、この本の記述で理解できると言えるのは D3 くらいから以降ではなかったか、という気がする(修士のときに読んでいたら「分かりにくい本だ」という感想になっていた可能性が高い)。しかしこれはターゲットをどこに置くかという問題で、やはり元々の想定読者を考えると「わかりやすい」本なのではないかな、と思うのである。