最後まで現役として講義する

今日は日野キャンパスには出勤せず、リモートでお仕事。原稿のチェックをしたりする。添削待ち原稿を3つにまで減らしたのだが、そこからなかなか減らない。

午後は東大本郷キャンパスに来てみたが、総合図書館に卒業生なら入れるかと思いきや、利用証が必要で、それの発行には卒業証明書が必要なようで、断念する。東大の卒業生のカードがあればいいのだが、卒業生カードで入れるシステムももう終了だそうで、結局構内のドトールへ(汗)

夕方は [twitter:@hiroshnakagawa3] 先生の最終講義を聞く。自分は FacebookTwitter でよくコメントやアドバイスをいただいていたので、お話をお聞きしたいと思っていたのである。受付も含め、会場では懐かしいお顔をたくさん見ることができた。みなさん聞きに来るものなのだな〜。

話の内容については 公開されている のでそちらを見ていただいた方がいいと思うが、TwitterFacebook で出席していた人たちの反応を見ると「過去の振り返りではなく、いま取り組んでいる最先端のことを話されていて、中川先生らしかった」という感想が多く、若干自分は温度差を感じた。

例えば、研究者やエンジニアの倫理をちゃんと真正面から捉えよう、という内容が中心的なメッセージだと思ったが、科学・技術における倫理の問題は20年前にはもうホットな分野になっていて(自分が科学史・科学哲学専攻だったので、早めに知っていた可能性はあるが)、特に新しい問題ではない。質疑応答でも、「今は完全に情報が得られなくても決断しなければならない、そういう時代になっているという中川先生の指摘は新しい」というような感想があったが、それは科学技術社会論STS(Science, Technology and Society の頭文字を取ってこう呼ばれる)でここ数十年議論されているので、そういった文脈を踏まえた方がいいのではなかろうか?(質疑に参加されていた皆さんは、発言内容から推測すると、ご存知っぽいと感じたが、研究者や技術者にそれらの議論が届いていないことが問題か?)

とはいえ、こうやって何かを言いたくなるような話をしたい、ということが恐らく中川先生の狙いであって、自分などはまんまとその術中にはまっているわけで、こういうことも含めて後進の人たちにいつも暖かいメッセージを送られているのだな、と思ったりして、すごいなぁと改めて感服する。自分が教授の先生方を見ていて思うのは、自分の専門分野はもちろん、自分の専門分野外にも広い見識を持ち、常に新しいことを貪欲に勉強・吸収し、ものすごく気長に未来の世代を育てることを厭わない、という姿勢が鮮明で、自分はまだまだだなぁと思うのである。