教科書があるとないでは大違い

午前中は古典論文紹介で

  • Rahman and Ng. Supervised Models for Coreference Resolution. EMNLP 2009.

を紹介してもらう。たった8年前の論文が「古典」というのはどうかと思うが、確かに最近の共参照解析の論文ではこれが「古典」と呼ぶべき論文の一つなので、仕方ないかという気もする(これの次は2000年代初頭に遡る)。

論文自体は共参照解析を教師あり学習するというタスクの説明で、どのように事例を作るかとか、どのように素性(モデル)を学習するか、というようなことがメインだが、このあたりの論文を数読まないと、なかなか「何でこうしているのか?」ということが分からないような気がしている。ただ、こういうような論文を(自分の専門ではなくても)読みこなす体力というのも大事なので、解説をしたりしながらみんなでしっかり読む。

ちなみに共参照解析についてはなかなか日本語で読めるまとまった文献がなかったが、「文脈解析」が出版されたことでかなり日本の人にはアクセスしやすくなったと思う。

文脈解析- 述語項構造・照応・談話構造の解析 - (自然言語処理シリーズ)

文脈解析- 述語項構造・照応・談話構造の解析 - (自然言語処理シリーズ)

評価方法一つとってもなかなか分かりにくいので、こうやって教科書的な書籍があるというのはいいことである。

昼から NL 研(情報処理学会自然言語処理研究会)の運営業務。プログラムを作成して調整したり、なんだり。結局3時間くらいかかる。国内の学会・研究会・勉強会の運営業務が最近はかなりしんどくて、どなたか他の方にお願いできないだろうか、と日々思っている。

午後は職場の同僚から研究論文についてのセカンドオピニオンを求められる。基本的に職場では自然言語処理が専門なのは自分だけなので、他の人と自然言語処理について意見を交わすというのは極めて珍しく、あれやこれや背景も説明したりする。役に立てていたらよかったけど、教員の専門分野についてもう少し重なりがあってもいいのではないか(そのぶん、手薄な分野が出てきてしまうが)、と思うことはある。

夕方は国際会議の原稿の添削。最後の追い込みで3人ぶんなんとかコメントを返す。今年開催の国際会議はほとんどこれで最後(ワークショップの締め切りはもう少し後まであるが)なので、なんとか全部通るといいのだけど……。