過去問に頼っていると不可になる

朝は出勤し、昨日のうちに用意しておいた B3 の情報理論の中間試験問題の印刷。

試験を通じて(!= 試験のための勉強を通じて)勉強してもらおうと思うと、試験に出した問題の解説をして採点した答案を返却したほうがいいとは思うのだが(最初の1-2年は解答を配布していたし、少なくとも中間試験は答案も返却していた)、そうすると「過去問」という形で先輩から試験問題をもらう後輩がいるので、毎年試験問題を作り続けないといけない、というのがネック。授業準備にかかる定数時間が毎年結構残ってしまう、という問題があるのだ。

本当はすべての「過去問」と解答自体を教員が配布して、毎年新しい試験問題を作って出せばいいのだが、そうすると毎年問題の作成とチェックに追われることになってしまうので、授業にかける時間の最小化という観点で、申し訳ないが答案の返却も解説もしないことにしている。もっとも、これも「試験には何でも持ち込み可能」という形にしているせいなので、持ち込み不可でちゃんと解答を配布したほうがいいのかな、とは思う。

昼休みを挟んで B2 のオートマトンと言語理論の中間試験。こちら、実は[http://d.hatena.ne.jp/mamoruk/20160606/p1:title=去年は一昨年の中間試験問題と同一のものを出し]失敗したなと思ったので、全ての問題を入れ替えた。巡回すると採点された過去問と思しきものを見ている学生もいたが、そういう学生は手が進んでおらず、何とも言えないものがある。

といっても例年学生は二極化して、5段階評価で4-5を取る学生が半数以上(今年度から原則として4-5をつけていいのは半数が上限になるらしいが)で、次の山は単位が出るか出ないかのところにピークがあって、要は普通にやって優となる大多数の学生と、可・不可のボーダーを狙う少数の学生に分かれるので、後者に関しては「できるだけエネルギーをかけずに単位を取る」ことが最適解となり、過去問を入手して無勉強で(もっと言えば無出席で)単位が取れれば最高なので、まあそうなってしまうのは仕方ない。自分は授業ではほぼ素点で成績をつけることにしていて、最頻値が8割になるように試験を作っているので、それで6割取れない学生はほぼ救済の余地なく不可にしている。

例年 B3 の情報理論では1割の学生が、B2 のオートマトンの授業では2割の学生が単位を落としているのだが、B2 までは南大沢キャンパスでアルバイトやサークル気分で勉強しないせいでこうなのか、それとも授業の内容のせいでこうなっているのかは謎である。ちなみに受講生数でいうとどちらもほぼ全ての情報通信システムコースの学生が履修し、かつ情報理論のほうが履修生数が例年数名多いので、オートマトンの授業で不可がついた学生が自分の授業を敬遠していて全体のレベルが上がったりしているわけではない(ポジティブに解釈すると、ちゃんとやれば不可は回避できる、あるいはちゃんとやらなければ不可がつく、と気がついて、ちゃんと勉強してくれるようになった、ということかもしれないが)。

そういえば、情報理論の授業で毎回回収していた演習課題を返却してほしいという学生がいたので、ソートを手伝ってくれるなら返却する、と伝えて2名にソートを手伝ってもらったのだが、2人とも高専生からの編入生だったのが感心した(例年若干名が編入してきていて、今年度は4人だそうである)。高専から来るとうちのカリキュラムは随分とぬるいと感じるのではないかと思うが、まったりできるのがうちのコースのいいところでもあるので、幻滅せずにしっかり研究する研究室に配属されるといいなと思ったりする(来年度以降は少しずつまったり感が薄れていくと思うが……)。

ちなみにうちの研究室は過去高専出身だった学生は1人だけで、あまり人気がないようだ(毎年4-5人ずつ配属され、編入生はB3の1割前後で、かれこれ20人ちょっとの配属があったので、期待値的には2人前後)。まあ、うちは「プログラミングは配属されてから特訓する」というポリシーで、そういうのを期待して希望する学生が過半数(例えば今年の B4 は5人とも全員そうだったらしい)なので、高専でプログラミングをかなりやってきた学生は、そこにあまり魅力を感じないからだろう。