フルスペル分からなければモグリでは

最近娘がまた夜にミルクを飲むようになったので、変な時間に起こされるのだが、ドライアイが悪化しすぎていて、一定時間寝ないと目が開けられないので、それほど眠くなくてもまた寝たりする。不毛である。

昨日に引き続き、英文校正依頼の2件目。金曜日の深夜に返ってくるようである。英文校正、分野が違うと「は?」と思うような添削をされるので、100%は信用できないのだが、かといってネイティブではない我々は使うしかないし、忸怩たる思いがある。特に「略語は最初でフルスペル」というお作法なんか、その分野の人は99.9%知っている、という略語でもフルスペルに添削されたりするのは何とかならないか、と思う(EU とか US も初出のときはフルスペルで書けと言うのだろうか?)。そもそもその略語を知らない人が査読をすることはありえない(潜在的な読者も知っている)、と思うのだが、査読者レベルの人にチェックをお願いするのは、お金を出さないと難しいのだろうなー。

本日は日本語ライティング科研のミーティングのために国語研へ。1年ぶりくらいだろうか。基本的に人文系の人は(平日には授業があるので)土日にしかミーティングをしないのだが(工学系の人は逆に平日にしかミーティングをしない)、今回は授業期間のため平日に開催してくれたので、参加できた、というわけである。そもそも工学系の人は授業があろうがなかろうが毎日出勤する(人文系の人は授業や会議がない日は出勤しないのはそんなに珍しくない)ので、土日に仕事はしたくない、という……。

最近「文系学部解体」を読み、横国のいわゆるゼロ免課程(教育学部だが教職を取らなくてもよい課程)はがんばっているな、と思った反面、そうではない(いわゆる文系の)学部・学科が段階的に消滅するのは仕方ないのでは、と逆説的に思った。

文系学部解体 (角川新書)

文系学部解体 (角川新書)

教員はちゃんと授業をしないといけないというのは正論だが、全く授業をする気がないような教員でも大学の自治と多様性のために必要で、正論で言われると困るし、若い人は正論を言うのでよくない、というような論調なのだが、いや、お給料をもらって教員をしているのだから、授業くらいちゃんとしないとダメでしょう……という感想である。

もちろんしっかり教育・研究されている方々もいらっしゃるだろうし、先進的な取り組みをしている学部・学科・コースがあるのも分かるが、教育を強制するとやる気を削がれるのでできない、と言われると、さすがにそれは社会人としてどうか?と。「そう考えるのは思考停止で、盲目的に従うのは間違っていて、大学人としての自由を守るために反逆するべきである」という意見かもしれないが、個人的な意見としては、教員はそういうところで自由を発揮する必要はなく、ちゃんと職務内容を規定して複数人で分担できるようにして、多様な働き方ができるようにした方がいいと思うのだ。(要は、身分に対してお給料を払うのではなく、職務内容に対してお給料を払うようにしておいた方が、みんなが公平に働くためにはいいのでは、ということ)

自分自身、元々は哲学科にいたので教養教育の重要性も分かるのだが、少なくとも今の日本の人文系の人員は、徐々に縮小して理工系に振り替えた方がいい(というか、理工系は現状維持のまま、人文系は補充なしにするとちょうどいい)と考えている。もちろん大学を職業訓練校にする気か、という反論もあるだろうが、こちらの記事で明らかなように、女子学生が相対的に多く人文系に進むことにより(大学院にも進まないし)、男女間の給与格差や雇用機会の不均等も固定化されてしまうのが問題である。いわゆる文系でも、今の授業は変えなくていいので、学部2年で数週間、学部3年で半年以上のインターンシップあるいは海外留学を必須にする、というようにすればだいぶ違うのではないかと思うのだが、そうでなければ根本的に授業を変えないと、今のやり方では(一部の研究大学を除いて)カルチャースクール状態になってしまうのではないかと……(真面目な学生も多いが、真面目に学んでも仕事につながるわけではなく、卒業してから結局専門学校に入り直したり)。

科研費のミーティングは、[twitter:@langstat] さんと [twitter:@yishii_0207] さんのトークがあって勉強になる。自分も質問したり発表したりもしたが、自然言語処理専攻になってからもう10年以上経つのですっかり工学脳になっているなと思ったりする。専門性は確実に上がっているが、果たしてこれはいいことなのだろうか……。

休憩の間、廊下でばったり O くんとすれ違ってびっくり。こんなところで会うと思わなかったので、声をかけられるまで誰か分からなかった。お互い話す時間もなかったのでそそくさと立ち去ったが、またどこかで会えることを楽しみにしている。