練習を重ねるごとにうまくなる

朝5時からメール処理。月曜と火曜の早朝は授業準備、それ以外の早朝はメール処理、という分担ができつつある。そもそも固まった時間が取れる早朝に、細切れの時間でもできるメール処理をするのは効率が悪いのだが……。

午前中は新宿へ行き、打ち合わせ。この話、首都大に着任した直後にお引き受けした話なので、かれこれ2年越しであるが、今年度が正念場である。いまは新しいお仕事をお引き受けするのは一度止め、子どもができる前にお引き受けしたお仕事を今年度で一区切りつけるようにして、新年度を新しい気持ちで迎えたいのである。(最近は日の出の時間が早くなるとともに、なんとか時間が確保できるようになってきた。昨年度の経験では、寒くなる9月いっぱいが勝負)

お昼から対外発表の発表練習。月末の ACL自然言語処理の最難関国際会議)と 中旬の NL 研(情報処理学会自然言語処理研究会)である。発表練習までには少なくとも全体を作ってきてほしいのだが、まだ完成していない人がいたりして、ちょっと心配(全体ができていないということは、そもそも通しで1回も練習をしていないことになるので)。

プレゼンは論文と違って時間制限があり、ひとまず全てを盛り込んだスライドを作ってもらうところがスタート地点で、そこから時間制約を満たさないスライドを削るのがスタンダードな作り方なので、そもそも全体が埋まっていなければ「まず埋めてください」というのが一番大きなコメントになるのだが……。論文も全く同じだが、口頭発表も全体のスライドができたところがゴールではなくて、全体のスライドができたところがスタート地点なのである。

あと、今回も国際会議の発表練習は質疑・コメントも含めて英語で行い、昨年度と比べるとだいぶ普通の質疑応答っぽくなってきたが、もっと研究室の英語力を上げることが課題である。読解能力は英語の教科書の輪読や論文紹介、サーベイ報告をしてもらうことで、この1年でだいぶ向上したと思う(TOEIC換算で100点弱は上がっていると思う)のだが、課題は会話とライティングである。

もっとも、自分が何かを言うまでもなく、研究室有志はそれぞれオンラインの英会話を始めたり、大学で開催している週1日の留学生との交流サロンに出席したり、Lang-8 で毎日日記を書いたり、研究室内の発表のスライドを英語にしたりしており、こちらも年単位では改善されていくことのように思う。

ちなみに自分はシドニー大学に留学するまで、人生で書いた英語および喋った英語のに総量は1,000語なかったと思うが(リスニングはラジオの英会話でかなり聞いていたので、リスニングはそんなに困らなかったが)、シドニー大学で受けた授業はどれも隔週で750語書かせるものだったので、書くのが毎回本当にしんどかった。喋るのもほぼ不可能だったし……。ただ、受験でしっかり文法の基礎をやっていたので、書いたり喋ったりする時間が増えるにつれ、どうしようもない状態は着実に改善していったし、生涯で1時間しか英語を話したことない人が流暢に喋るのは土台無理な話なので、とにかく機会を作って時間を確保して取り組んでもらいたい。

夕方は研究室見学に来ていた学生と少し話す。大学院に行った方がいいかどうか、という話だと、国公立大の情報系だと恐らく行った方がよいのだが、どの研究室に行った方がいいか、というのは難しい話である。どの会社に入るか(誰と付き合うか?)勧めるのは難しいのと同様、ある人にとってはいい環境でも、別の人にとっては合わない環境というのがあるし、定員もあるので勧めても全員がそこに行けるわけではない、という問題もある(これに関しては、選ぶ権限は受け入れる側にあるので、仕方ないが)。

たくさん研究室を見てもかえって迷って訳のわからないことになるし、逆に1つしか見ないと実はもっと合った研究室を見逃してしまう可能性があるので、お勧めは2-3つの研究室に絞って、ちゃんと見学することである。研究室配属(入学)前に時間を取ってくれない教員は、恐らく配属されてからも時間を取ってくれない可能性が高いので(逆は必ずしも真ではないと思うが)、避けた方がいいし、直接教員と話せば5分間でも最低限の相性は分かる。できれば研究室の学生を見たり、学生と話したりしたほうがいいと思う(無理であれば、その研究室の学生や卒業生が書いているブログを見たり、Twitter を見たりすると、多少は想像できる)。

研究テーマに関しては、研究室のスタイルによるところが大きいのでなんとも言えないが、一応過去数年分くらい、その研究室のメンバーが出している論文のタイトルくらいは眺めてみると、どういう研究をしている研究室か、ということは予想できるのではないかな?同じような内容が並んでいる研究室は、グループ制で先輩の研究を後輩が引き継いで研究している可能性が高いし、逆に論文の内容がバラバラな研究室は学生がアイデアを決めている可能性が高い。

前者は研究テーマの選択肢が狭い(やりたいことができるとは限らない)半面、先輩や教員の指導を受けられ成果も上がりやすいし、アイデアを出すのが苦手な人は楽だろう。後者は放置され何も身に付かなかったり成果が上がらず病んだりする可能性がある半面、言われたことではなく好きなことをやりたい人には向いているだろう。どちらも一長一短なので、最後は直感に頼るしかない。

外から見ると華々しい業績があるけど中に入ると研究室の雰囲気は最悪、という場合もありうるし、教員の口がうまく研究内容はおもしろそうに見えるけど入ってみたらまともに論文を書けないことが発覚、という場合もありうるし、何を考慮しても不満・不安はどこかにはあるので、どういう欠点なら我慢できるか、というのを意識するのもよいかもしれない。