研究の優先順位を高くする

気が付いたら4月が終わっていた。毎日保育園の送り迎えをするようになって、まだ数日の感覚だったが、もう1ヶ月も経っているのかと思うとびっくりである。行きと帰りのリズムができた(行きも帰りも、これまでは駅に行って目の前に来た電車に乗っていたが、いまは毎日決まった時間の電車に乗る)ので、仕事の時間の確保が難しいこと以外はそんなに困っていない。17時以降の会議は9割方断るが、断ることが許されているというのは恵まれているのだろう。

お昼に共同研究に関する研究室内ミーティング。5月中に一つ片付けておくべきことがあるので、ゴールデンウイーク明けには方針を決める必要があるのだった。とりあえず分担を決める必要があるので、タスクの説明と分担について相談(と書いたところで、どういう分担になったのか聞いていないことに気がつく。あとで聞いておかないと)。

昼過ぎはSLP(自然言語処理の教科書)の勉強会。機械翻訳についての章で、アライメント(翻訳の対応付け)の話である。こういうのは実例を見ながら議論しないと分かりにくいので、例を詳しく説明してもらう。変数のインデックス(添字)が一つずれると意味不明になるので、小さなことに見えるが全部それぞれの意味を確認して読み取る必要があるのだが、そういう訓練をしないと読み方が分からないのである(もしかしたら、なんでこんな細かく読んでいるんだ?と疑問に思う学生もいるかもしれないが)。これまで「なんとなく」で理解してきてそれで済んでいた人ほど、こういう細かいことに注意を払わないといけない作業が苦痛かもしれないが、機械学習やプログラミングの勉強をするに当たって、こういうところを曖昧にするとあとで困るので、しつこいようだが確認するのである。

午後は PRMLパターン認識機械学習)の勉強会。前回は研究室で自席に座ってもらってやっていたのだが、全体で説明しにくいというわけで、今回は教室を借りて実施。20人近く揃うと、なんか人気の授業か?と一瞬思うくらいだが(学部4年生対象の授業や下手な大学院向けの授業より人数が多い)、全員うちの研究室のメンバー、という……。

夕方は学生の進捗報告 x 3。

大学院生的な大学における重要度は研究が一番上で、次に研究室内の自分が担当になっている勉強会、その次に授業、そして自分が担当になっていない勉強会、という順番だと自分は思うのだが、研究のプライオリティをそんなに高く考えない人もいるようで、難しい。別に学部生ならそれでもいいと思うが、大学院生は(専門職大学院を別にすると)名実ともに研究が第一義なのである。

結局自分がアウトプットする分量に応じて重要度が増すわけだが(大学院生のアウトプットでもっとも大きなものは修論・博論なので、それが最重要)、インプットする分量に比例して重要だと考えてしまうようなのだ(汗)そうすると、授業 = 担当でない勉強会 >> 担当の勉強会 > 研究(サーベイ除)となるのである。「論文を読む・実装する・論文を書くのに忙しいので、授業や(担当でない)勉強会には出ません」と宣言するような学生がいてくれると、それはそれでよいことだと思うし、すでに論文を書くことを「正しく」優先し、論文執筆が佳境のときは勉強会には出席しない学生もいるようで、頼もしいが(笑)

あと、就職活動は大学における活動でないので、研究や勉強とは別だが、個人的には、就職は極めて重要なので、就職活動中に一時的に研究が止まるのはかまわないと考えている。問題は、就活中は研究しないのに、就活も中途半端で研究しない期間が長期化する学生だが、結局就職先が決まることと修論の評価が連動していると問題(そのこと自体、建前的には少なくとも関係ないので、影響があるとしたらおかしい)なだけで、修論の評価は就職とは独立に判断すればよいと思うのだ。ただし、直前にダメだと言われると人生設計に影響を与えるので、ダメな場合は事前に伝えるとか……。(まあ、ほとんどの場合、基礎勉強さえ終わっていれば最後の半年みっちり研究すればキャッチアップできるので、よほどダメなケースに限られると思うが)

いずれにせよ、今年度に研究室の修士の1期生が修了するので、就職活動と研究の両立(たまたま就職活動の時期が大きく変わるタイミングなので、来年度以降も同様か分からないが)のバランスやスケジュール感など、分かってくるのではないかなと思う。