論文シーズンに向けて着々と研究の割合が増えていく

午前中は事務処理およびメール処理。研究室関係の事務処理はだいぶ負担が減ったのだが、学会関係やコース関係の事務処理は自分でやるしかないので、けっこう時間を取られる。今年度を乗り切れば、これらは軽くなると思われるので、あと少しがんばろう(次にコース関係の仕事が大変になるのは、学部教務委員が当たったときだと思われる)。

お昼から SLP(自然言語処理の教科書)の勉強会。一階述語論理に関する節に突入。意味に関するところより、サクサク進むようになる。閉世界仮説とか可能世界とかゼノンのパラドックスなど、論理学に関することをいろいろ補足したりする。そういえば自分は論理学を哲学の文脈で勉強したが、駒場では文系が履修できる論理学と理系が履修できる論理学は内容が違って、情報科学科に進学する人は理科系の「記号論理学」のほうが要望科目(?)だったように思うのだが、首都大の情報通信コースでは、別に推奨されていないのだろうか?

午後は研究会で進捗報告を聞く。1人欠席だったので、4人による進捗報告だったのだが、たっぷり2時間半。段々研究室っぽくなってきていて、よいことである。コーパスを見てみたり、プログラムを書いて抽出した結果を見たりすると分かることがたくさんあるが、当初有望だと思って始めても、やってみたら現実はそうじゃなかったときは潔く捨てることも必要。ダメそうならすぐ次のアイデアを試した方が成功の可能性は上がるので、ターンアラウンドを早くする意味でも、フットワークは軽いほうがいいと思う。

Project Next NLP という、いろいろなタスクでエラー分析をする日本の自然言語処理コミュニティの一大実験プロジェクトがあるのだが、予想通り大変そうである(自分は今年度子育ての負荷が高いことが分かっていたので、結局メインでは参加していない)。こういう機会が必要なことは恐らくこの業界のほとんどの人が賛同すると思うのだが、実際にエラーを分析しようとすると、アノテーションの経験がありかつ言語学にも詳しい人がプロジェクト内に複数人いないと、そもそもエラー分析自体がまともに回らないと思うし、もしそういう人たちが中核にいたとしても、議論が白熱して毎回侃侃諤諤の議論になることうけあいなのである。

もっとも、前者の場合でも後者の場合でもこういう経験が無駄である、という話ではなく、前者だと、やらないといけないのにずっと後回しにしてきたことをこの機会にやり、改めて大変であることを納得すればよいし、後者だと、議論することで全員が認識を共有することがむしろ有益なことで、必ずしも意見が収束しなくてもよいだろう(9月の中間ミーティングで語義曖昧性解消タスクの報告を聞き、その思いを強くした)。

来年3月の言語処理学会の年次大会に連続してワークショップの開催が計画されているので、そこでの発表を楽しみにしたい(自分は卒業式でコース幹事の仕事をするために、ワークショップには全日参加できないのだけど……)。

夕方は研究に関する相談を受ける。学部生の人たちはそろそろ何を作るか決めて作り始めないといけないころで、決まったら毎日プログラミングをし始める時期である。毎日1時間でも研究のプログラミングをするというのは、周りがしていないとなかなかできないものかもしれない(松本研では通年で誰かしらは研究に没頭していたので、途切れることがなかったのかなと思う)が、勉強会が多すぎるので研究の時間を圧迫しているように思えるのが、ちょっと気がかりである。ただ、勉強会の時間を減らしたら研究の時間が増えるかというと、恐らく研究の時間が増えず単に研究室に来る時間が減るだけである可能性が往々にして高いので、それなら勉強にでも時間を使っていたほうがいいのでは、と思うのであった。