批判的に論文を読む訓練

朝5時に起きてお仕事。朝が段々寒くなってきた。末端冷え性なので、冬の早朝はつらい……。

午前中は論文紹介で、今期から論文を紹介する人の他に「クリティーク」という人を指名して、論文を紹介する人と同様に論文を読み込んできて、批判・批評する、という役割を担当してもらうことにした。提案手法のやり方以外にどんな方法が考えられてどういう利点があるかとか、こういう先行研究が抜けているだとか、そういうことを指摘・議論するための人である。論文を題材にディベートする、というような感じだろうか。

どうやらこの「クリティーク」制度、看護学では一般的なゼミの形式として広く行われているものらしいが、他の分野ではあまり導入されていないようである。自分も妻から「クリティーク」の存在を聞いて、これはおもしろい、一同試してみよう、とずっと思っていて、松本研ではついぞ導入する機会がなかったので、今回が初である。

ちなみに普通クリティークは教員や博士後期課程の学生が担当するらしいが、当研究室はみんな経験があるわけでもないし、逆に研究室に来てから半年だから自然言語処理に詳しくないかというとそういうわけでもないので、全員にクリティークも担当してもらう。来年度もこの形式でやるなら、研究室に2年目以上の人がクリティークかな?

今日の担当は、自分が

  • A. Kumaran, Melissa Densmore,  Shaishav Kumar. Online Gaming for Crowd-sourcing Phrase-equivalents. COLING 2014.

という論文を紹介し、[twitter:@06ryu14] くんにクリティークをしてもらう。ゲームをプレイしてもらうことで、自動的にフレーズや短文の言い換えが獲得できる、というお話で、言語教育で応用できないかなと思ったりしたというのと、実は @06ryu14 くんと「こういうのができたら研究になるよ」と去年の今ごろ話していたそのままの内容だったので、着眼点は悪くない(実装力だけの問題)ということを言いたかったのである。

実は今日が避難訓練の日であることを忘れていて、本来1.5時間あるはずの論文紹介が1時間しか取れなかったので、クリティークにあまり時間を使えなかったのが心残り。批判するためには研究のポイントをちゃんと理解しないといけないし、理解できていない人は本質ではないところを延々批評したりするので、力量の差が単なる論文紹介以上に出てしまう。確かにこれは(後期からならともかく、配属直後の)新入生にさせるのは無理かもしれない。いろいろ試してみよう。

午後はコース会議。いつも通り2時間ほど。自分の提案した案件は無事通り、自分の関わった案件も出し直しにはなったが概ねポジティブな感じでほっとする。助教のときは大学運営の仕事なんてオープンキャンパス以外ではほとんどなかったので、首都大に来た直後は全く右も左も分からずストレスフルであったが、2年目にしてようやくスケジュール感がつかめてきたので、だいぶ楽になってきた。人間の適応能力というものは恐ろしいものである。(しかしこれも自分がまだ36歳だからすぐ順応できただけで、もしかすると50歳を超えてから環境が変わると、順応できずずっと前職と比較してしまいそう。かくいう自分も、大学運営関係の仕事は、よく NAIST と比べてしまうし。)

午後は注文していた Mac を受け取ったりなんだり。在学生に iPad を新調してもいいよ、と声をかけたのだが、みんな新型待ちだそうで。iOS 8 だとさすがに古い iPad だと厳しいし、新型が出たら自分も買い換えたくなってしまいそう。

夕方、自分の居室の模様替え。秘書さんが来るので、とりあえず居室でも作業できるスペースを確保するためである(研究室はまだスペースができていない)。前任の方が置いていったものがいろいろあるのだが、いい加減使わないものは処分したほうがいいようにも思う。とりあえず、鍵のかからない戸棚は捨てたい……(提出された答案用紙やレポート用紙は3年間保管しないといけないのだが、鍵のかかる引き出しの収納能力的にはあまり余裕がないのである)模様替えに予想外に時間がかかり、2時間も経ってしまった。ひとまず、これで様子を見るか……。