生き方のギアを変える時期が人生には3回ある

本屋で買った伊藤元重「東大名物教授がゼミで教えている人生で大切なこと」を読む。

内容的にははっとすることが書いてあるわけではないが、留学時代の体験談や、学問に対する姿勢、執筆の考え方など、参考になることが多かった。ちなみに後半の1章は「流通大変動」とほぼ重複しているし、エッセンスは「〜大切なこと」に含まれているので、後者を読むなら前者を読んだほうがいいように思う。

もっとも読んでうならせるものがあったのは最後の章の「ロールモデルを探せーー私の20〜30代」というところで、ちょうど自分に重なるところがあり、大いに考えさせられた。特に、長い大学教員生活を考えると、トップクラスで居続けるためには数回「ロケット」を切り離すように生き方をガラリと変える必要があり、変えた当初は不安だが、変えないとじり貧になるので、いつが切り離すべきときかじっくり考えなさい、という話が心に残る。

自分も東京に来てここが切り替えどきかと考えることはあるのだが、まだ奈良時代のペースで行けると思うこともあり、国際会議で論文を発表したい気持ちもあり、悩んでいるところである。

ただ、実質的な最先端の研究というのは学生がするものだと思うし(これは Microsoft Research のインターンシップ初日に、研究所の所長から言われたことでもある)、自分の注力するべきは、いかに学生に最先端を走ってもらうか(論文を読み、自分でも書いて発表する)、ということだろうと思うので、やっぱりここが正念場なのだろう。

ちなみに伊藤元重の本は浪人生のときに経済学の本を読んでいたく感銘を受け、あと1-2年出会うのが早かったら自分は経済学部を受験していたかも、と思わせるくらいの影響力が当時の自分にはあった(高校生のころ興味があったのは、社会主義マルクス経済学であったが)。結局経済学を修めるには至らなかったが……(NAIST在学中に慶応の通信の経済学部に編入学したが、博士号を取ったとき、退学した)。