ナビを頼らなくなったところが出発点

午前中は機械翻訳勉強会。前回の IBM モデル5は通過したが、Viterbi アライメントや greedy アライメントについて確認・議論しながら読むと、なかなか骨がある。哲学科にいたときも、4時間勉強会して1ページも進まなかったことがあるが、内容はさっぱり忘れてしまっても、そこでどのように考えるか、理解するか、という訓練をしたことは身についているように思うので、こうやって時間をかけたことは基礎体力として後々役に立つと思ってがんばりたい。

進捗報告では ASPEC コーパスの日本語側を形態素解析MeCab+IPADic)、係り受け解析(CaboCha)、述語項構造解析(SynCha)した結果を見て議論したのだが、ASPEC コーパスは日英および日中の科学論文コーパスなので、主語がほとんどない! 日本語側で主語が書かれていないケースも英語側では They になっていたり受け身になっていたり、はたまた名詞化されていたり、いろんなケースがあって、一筋縄ではいかなさそうである。分野や文体の問題もあるが、今回の設定ではどの言語からどの言語に、どの言語が母語の人が翻訳したのか、ということが問題な気がする。

午後は学部2年生のオートマトンと言語理論の授業。南大沢まで車で行くと、先ほど日野キャンパスのコピー室でご一緒した先生とばったり出くわす。両方南大沢で4限の授業があり、授業の直前に資料を印刷していると、同じような時間になるのだろう……。阪大出身で枚方にお住まいだったそうで、思いがけず関西トークができたりする。

授業は前回の復習を丁寧にしていたら時間が足りず、最後駆け足の説明になって小テストに突入したら、テストと一緒に書いてもらったアンケートですこぶる評判が悪かった。ステップバイステップでやり方を教えた問題を、テストで出してもらいたいようである。あと、今回は授業の中でたくさん学生を当てて、その場で解いて説明してもらう形式にしているのだが、これも嫌な人は嫌なようである。

前者に関しては、今年度は学部3年生の授業でも「スライドを穴埋め形式にしてほしい」という声があって「そういう需要もあるのか」とびっくりしたものだが、どうやら決まった手順を順番に、正確に再現できるようになる能力を評価してもらいたいと思っている人がいるっぽい。それはそれで事務処理的には有用な能力だと思うし、できるようになるに越したことはないのだが、研究や開発で必要なのは穴埋め問題の穴を埋めることではなく、穴埋め問題を作ることなので、ちょっと先行き不安である。

帰りは初めて音声ナビなしで南大沢から車で帰宅。数回ナビなしで通ると道を覚えるのだが、初めてナビなしで通る道は、数回通ったことがあっても緊張するものである。ガイドありの運転をするのは、穴埋め問題を解くときと同じかもしれない(笑)