楽しさが分かるにも時間が必要

休日は小金井公園か田無に歩いていくことにしているのだが、最近は田無の方が多いかも。多少階段があったり坂道があったりしたほうが、いいようである。

先日本屋で購入した山田ズーニー「伝わる・揺さぶる!文章を書く」を読む。

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

これは大変な良書である。今年読んだ本のうち、間違いなくトップである。文章を書くという HowTo の本なのだが、ズーニーさんが文章を添削するときにどういうことに気を付けているか、実際自分でこういう失敗をしてからこういうふうにした、という悩む過程まで書かれていて(エピソードの顛末まであって)、ものすごくおもしろい。

入試で小論文を書く人や就職活動でエントリーシートを書く人がメインターゲットのようだが、「議事録の書き方(なぜ議事録を取るのか)」「メールで仕事を頼むときの依頼の仕方」「お詫びの文章の書き方」みたいな仕事に関する章もあり、目から鱗が落ちる思いであった。去年この本を読んでいたら、もっとちゃんと議事録を取ったのになぁ〜(コース会議の議事録担当は、2人いる幹事のうち、1年目幹事の役割なので、2年目幹事の自分は担当しない)。もったいないことをした……。

特に自分がグッと来たのは最後のエピローグの章。ズーニーさんはベネッセで小論文の編集長をされていたそうだが、高校生向けの雑誌の表紙をどうするか、決める立場にあったらしい。たった5ページの文章なので、買わないでも本屋で手に取って立ち読みしてもらいたいのだが、自分も大学で学生と接するのでグサリと来る。自分がよいと思ったものを出すのは単なる自己満足だが、学生とが求める耳ざわり、目ざわりのよいものを出しているだけでは成長もない。学生の中には一時的に「自分が好きなものじゃないので嫌だ」と思う人がいたとしても、信念を持って続けていると、長い目で見るとメッセージが伝わる。大事なものほど、すぐには理解できないことがある。こんなことがおもしろいと感じるようになるとは思わなかった、でもおもしろい、そういうような仕事ができればと思う。

タイトルが軽いのでこれまでスルーしてきてしまったのだが、ぜひみなさんに読んでいただきたい本である。特に就職活動前の学生さんとか。(就職活動直前よりは、たとえばインターンシップや留学、未踏みたいなプロジェクトの応募書類を書いたりする機会は学生でいると不意に出てくるし、そのとき慌てて読んでもすぐ応用できないので、今すぐ読んだ方がいいと思う。)