ビッグデータブームのはるか前から情報に目をつけていたリクルート

土曜日になるとほっと一息。7〜8月くらいに購入していた「リクルートのDNA--起業家精神とは何か」を読了。「DODA」はともかく「[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A8%E3%82%89%E3%81%B0%E3%83%BC%E3%82%86:title=とらばーゆ]」は、確かに小学生のころ、流行っていたなぁ。(いま大学生の人たちは知らないかもしれないが、「とらばーゆする」というのは女性が転職するという意味の動詞として使われた流行語である。なぜそういう意味で使われていたかはリンク先参照)

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)

前半の章は「どこそこの会社の誰それ君はがんばっておる」みたいな話で全然おもしろくなかった(そのためしばらく読むのを挫折していた)が、4章以降のリクルートをどのようにして(東大新聞時代から、就職せずに起業して)大きくしていったか、という話が滅茶苦茶おもしろい。いまでこそ巨大な企業でゼクシィやカーセンサーじゃらんや SUUMO などみなさん恐らく一度は耳にしたことがあるようなサービスをさまざま擁しているが、このようになった紆余曲折が書かれているのである。

自分などは小学生のときにリクルート事件があり、子ども心に「リクルートコスモス」という文字が新聞を賑わせていたので大学に入るくらいまではリクルートによいイメージはなかったのだが、この10年はそんなことは意識しなくなったし(上述のようなサイト・メディアにも頻繁にお世話になっているし)、こうやって創業期からの話を読むとまた違って見えてくるものである(さすがに小学生のころはそこまでしなかった)。

リクルートは情報で持っている企業だし、この情報化社会の恩恵をもっとも受けている企業の一つだと思うが、データがあるというのはどこまで活用できるのだろうか、と思うと空恐ろしいものである。(そういう分析や開発のできる人材を育成するのが、自分の役割の一つでもあると思うが)

また、それに関連してこれまた同時に購入した「ビッグデータの覇者たち」も読んでみた。

ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

一般向けに書かれているので専門的な内容は期待していなかったが、やはりビッグデータがなぜビッグデータなのか、という話は押さえてほしかったかな(本書の内容とビッグデータはあまり関係ないような)。単に最近台頭してきたウェブ企業を中心とするサービスの事例紹介の域を出ない。まあ、一般の人はそんなことには興味がないのかもしれないけど……

あと、登場してくる話の大部分がアメリカ限定の話で、「日本ではこんなサービスは使われていない」というようなミスマッチが気になる(もしかしたら「日本の読者にもそういう動向を知ってもらいたい」という親切心なのかもしれないが、自分の個人的な印象では、余計な気がする)。アメリカ生活が長いので仕方ないと思うし、そういうのを求めている人にはよいかもしれないので、マイナスというわけでもないが、全般的に分かりやすくしようとして出したたとえ話のほうが(アメリカ、というかシリコンバレー在住の人には分かりやすいのだろうが、日本在住の人には)より分かりにくいような感じなので、シリコンバレーの企業(起業)情報について知ることができれば満足、というのでなければ、ビッグデータについて勉強したい人は他の本を当たったほうがいいように思った。