クラウドコンピューティング講演会2013: 基礎知識はコツコツと身につけておく

正午が研究費(科研費若手A)の学内〆切だったので、観念して提出。

午前中は機械学習の基礎勉強会。章末問題を全部解いているのだが、ディリクレ分布を事前分布とした単語の出現確率をラグランジュの未定乗数法を使って MAP 推定で求める問題に導出に少し詰まる。予習なしに突然式を見るのはよくないな……。NAISTで先生方がすらすら解説できるのは、相当理解されているのだろうなと思った(自分もちゃんと勉強し直そう)。

言語処理の知識はあるはずのうちの研究室の4年生より、言語処理について学んでいないはずの仮配属の3年生のほうがすらすらと解けているのだが、やはり授業でずっと数学を使ってきているか、それともしばらく離れているかで違うのだろうか?前期に機械学習どころか離散数学の勉強会すらやらなかったのが悔やまれる。週1回でも数学脳を使えば活性化されるとかいうものでもないかもしれないが……。

午後は首都大で企画したクラウドコンピューティング講演会。単発の講演会なのだが、強制的に3年生は授業の一貫として出席することにしたので、最低50人確保できたのだが、蓋を開けてみると100人を超える人が聞きにきてくれたので、大成功であった。

また、今回の講演会は今回は講師をお呼びしたりと少しお手伝いしたのだが、Twitter で内容に関する質疑コメント等流してよい、とのことだったので、クラウドコンピューティング講演会2013@首都大日野キャンパスにまとめてみた。Twitter を授業でまた、マイクロソフトアカデミックチームブログにも取り上げていただいた。

後者のほうが前者にないことが書かれているのでちょっと紹介すると、僭越ながら自分が司会を勤めた総合討論(つまり自分がまとめを書けなかった)について、

3社の講演終了後、「クラウドコンピューティングの現在と未来」と題して総合討論が行われました。講演者全員が登壇して、会場からの質問に自由に回 答していくという構成で、クラウドだけでなく、IT業界の魅力全般を参加した学生さんに伝える良い時間になっていました。最後に「日本のエンジニアが、この先生き残るためには?」という質問がでました。この質問に対する回答は、IT業界を志望する学生さんに対する良いメッセージとなっていましたので、内容を紹介させていただきます。

「基礎が大事。技術を極めるだけでなく(技術おたくになるのではなく)、外に対して何かを発信していくこと、何かモノなどを作って発表していくことの重要性。」(DeNA 野上 氏)

「大学でしか学べないものを学ぶこと。英語をしっかりと学ぶこと。IT分野は英語が必須。」(東芝ソリューション 櫻井 氏)

「英語は必須。ITの最新情報は英語。いろいろなことをやってみて、自分の特性を知ること。自分に何が向いているか適性、特性を見つけて、それをやり続けること。」(日本マイクロソフト 萩原 氏)

ということである。実はもともとの質問は「この先生きのこるためには?」であるが(笑)

実務的な経験は働き始めたらいくらでもキャッチアップできるから、数学・統計やアルゴリズムのような大学でないとできない基礎をしっかりやっておくとよい、というのが実際的なアドバイスであるが、現実的には働いてみないとこれらが重要であることを身にしみることがないので、個人的にはとりあえずアルバイトなりインターンシップなりで実務に放り込んでみて(あるいは学外の企業の人も来る勉強会に参加してみたりして)、そこで気がついて基礎勉強をすればいいんじゃないかと思ったりした。

また、最後の萩原さんのメッセージは全くその通りで、プログラミングが好きでなくても全然かまわないし、そういうことが在学中に分かったらエンジニアの職業に就かないという道が選択できるし、嫌なこと、不得意なことをやらないというのも大事だから、いろんなことを試しましょう、というメッセージは参考になった。ただ、技術的にも萩原さんのトークはいろいろと勉強になることが多かったのだが、学生はついていけたのだろうか……これくらいのトークが少なくとも学部4年生が理解できるくらいのカリキュラムにしておかないといけないな、と思った(いまもカリキュラム上はそうなっているが、学生がどうやらちゃんと履修していない)。

終了後、野上さんに研究室(学生室)をご案内し、うちの研究室の学生たちと駅前で飲み。駒場か本郷の相談員懇親会以来?なので10年ぶりくらいかなぁ。懐かしすぎる。たぶんお互いあまり変わっていないんじゃないかと思うが、うちの研究室の学生たちはゲーム好きが多いので、野上さんのさまざまなゲームに関するトークを楽しんでもらえていたようである(笑) やっぱりこうやってバリバリ企業で仕事をしている人の話を聞くとおもしろい。自分からそういう人たちになにか還元できるものがあるかというと、心もとないところがあるのだが、学部生〜院生くらいの若い人たちの感性に触れるのも時には刺激になるので、少なくともそういう2つをつなげるだけでも努力しようと思ったのであった。