ことばにまつわる科学と工学のあいだ

体調を崩して昼過ぎまで寝ている。貴重な休日なのだが……。

昼過ぎ、最後の手続きで、家賃の引き落としの手続きのために武蔵境駅前の UFJ まで。吉祥寺まで行かなくても南口のイトーヨーカドーの隣に UFJ があったとは。ここまであると、吉祥寺に行く必要もないなぁ。自分にとって武蔵境は少年時代を過ごした20年前の印象が強いのだが、この10年で大きく変わっているようで、相当便利になっている。隔世の感がある。

最近読んだ本のうち、「ことばの発達の謎を解く」がおもしろかった。いままでのところ、今年のベストかも。

ことばの発達の謎を解く (ちくまプリマー新書)

ことばの発達の謎を解く (ちくまプリマー新書)

今井むつみ先生の本は前著の「ことばと思考」もおもしろかったので期待通りであったが、今回も実験が豊富で興味深い。たとえば自動詞と他動詞の概念の区別ができるのが何歳くらいかを調べるのに、「XがYをチモる」のような存在しない動詞を作っていろいろな年齢の子どもにこの動作を表すイラストを選択させる、というような実験をしたりするのだが、こういう実験をしようと思いつくのがすごいなと思う (この分野の人にはすでにパターン化したやり方があるのかもしれないが)。発達段階に応じてそれぞれ反応が違う、という知見も、そうなることは知識としては知っているのだが、改めて人間の不思議さを感じるのである。

自分も最近は第二言語習得に自然言語処理を応用するという研究に従事しているのだが、このように発達段階に応じて反応が違うことを考慮に入れると、第二言語習得でも学習者の習熟度に応じて解析モデルを変えたりする必要があるのでは、と思うのである。たとえば、初学者は文法もよく分からないなんとも言えない間違え方をするが、中級者は文法・語彙的に母語の影響のあるような間違え方をし、上級者になるとまた母語の影響がなくなっていく、みたいな。これを自動でやるのは難しいようにも思うのだが、こういうダイナミックな動きをする解析系ができるとおもしろいかなと思うのである (工学的な興味というよりは、サイエンスとして興味がある、という感じだが)。

この本を読んだあと妻にパラパラと紹介してからしばらく、「チモる」が我が家の流行語になっていた (笑)