IJCNLP 2011 本会議3日目: 日本人と国際会議

本会議も3日目になると、だいたい来るべき人は揃った感じ。

(写真は本会議のメイン会場の入り口のパネル)

ランチタイムにロビーを通りがかると Hisami さんが到着しており、[twitter:@zzzelch] さん [twitter:@taku910] さんらと談笑中。ワークショップのみに参加する人たちは今日くらいから来ているそうだ。@zzzelch さんも自分と同じ研究費に申請しているらしいことを知る。自分も面接まで残っただけで喜んでいる場合ではなく、本気でスライド作らないと。

お昼はそういうわけで Hisami さん、NTT の S 木さんという「2人の鈴木さん」と食べる。他の人 (国外の人) からよく混同される、というお話を聞いたり……。確かに国が同じで同じ名字だったら間違えそう (「鈴木」というのが日本でよくある名字だということは国外の人には分からないだろうし)。ちなみに自分は同じ名字の人にはあまり出会わないが、日本では「小野」などと文字の形が似ている名字、あるいは「小松」などと発音が似ている名字と混同されやすい (「小町」はあまりない名字なので、よくある名字と間違われてしまう)。海外だと名字を間違われたことはないが、ファーストネームを Momoru とか Momaru とか間違われたりするのだが、強勢のない母音は聞き取りくにいし、自分も正しく発音していないと思うので、これは仕方ない……。

午後のセッションが終わり、ベストペーパーの発表。詳しくは nokuno さんの日記にメモがある。ベストペーパーを取った2つの発表、Semantic Composition のほうは聞くのは2回目だし、両方聞いてみたのだが、どちらもいまいちだな〜。

たとえば Fine-Grained Sentiment Analysis with Structural Features のほうは、なぜ Markov Logic Networks(MLN) を使って解いたのか分からないし、聞いていた人からのコメント・質問にもあったが、1文の中の節の構造を考慮することができる、というのが MLN のよさだと主張するなら、まずは系列ラベリングのような問題として (たとえば linear chain CRF なんかを使って) ベースラインを作るべきで、比較対象が SVM というのはちょっと弱いと思う (発表者も「系列ラベリング」という概念を知らないっぽかったので、やりようがなかったのかもしれないが)。

次に Dynamic and Static Prototype Vectors for Semantic Composition の論文、やりたいことはよいと思うし自分も興味がとてもあるのだが、実験が「これでいいの?」と思うような感じ。もともと [twitter:@shirayu] くんが最近言っている、語義ごとに述語の項の分布が違うので、述語の類似度を測るときは語義曖昧性解消しないといけない、という話とよく似ているのだが、複合名詞の解析タスクでやるのではなく、動詞と名詞に関する意味解析のタスクで評価してくれれば参考になったかなと思う。(興味があるなら自分でやれ、ということなのだが……) まあ、Semantic Composition はとても興味深い話なので、実装してみたいなとは思っている。

次回の IJCNLP は 2013 年に名古屋 (主催は豊橋技術科学大学) らしい。近いから NAIST から出す人も増えるかな。いや、せっかくの国際会議なのに、日本開催だと国際会議っぽくなくて嬉しくないが……。

夕方、ノープランだったが適当に会場にいる人についていって中華料理店へ。チェンマイは内陸なのだが、シーフードが割とおいしい。というか、どの料理も基本的においしいし、1食日本円にして数百円でたらふく食べられるし、普通に観光旅行でまた来てみたいくらい……。[twitter:@odessa_mydns_jp] さん、[twitter:@nokuno] さん、[twitter:@uchumik] さんに加え、初めて東大田中 (石井) 研の K 川さんと対面でお話する。いろいろ聞けて楽しかった。

「企業の人や大学でも研究室によっては何人も論文の共著者に入っていますよね。あれって、みんななにしているんですか?」という質問、確かに不思議に感じるかもなと思う。人によって、あるいは研究室によって方針は違うと思うが、自分は共著者は「その人がいないと研究が成立せず、その論文の内容に連帯責任を取れる人」を貢献度順に並べる、ということかと考えている。

たとえば、iPS 細胞の論文、貢献した人はたくさんいるが、内容がセンセーショナルなので、発表したら名前の載っている人は絶対に叩かれる、と危惧し、山中さんは実際に一番深く関わっていた学生1人と自分の2人しか共著者にいれなかったそうだが、こういうように、論文の内容に責任を取れる人 (「それは第一著者が勝手にやったことなので、間違っていても知りません」などと言わない人) が「共著」であって、単なる研究室内部での業績の水増しみたいなのはちょっと共著と呼ぶのは違和感がある。

少なくとも、「実験をしました」「論文を書きました」「論文を添削しました」「アイデアを出しました」「お金を出しました」「データを作りました」「実験器具を提供しました」みたいななにがしかの役割があって (どこまでを「研究が成立しない」と考えるかによって、たとえば「データを作りました」はカウントしない、とかいう見解の人もいるだろうが)、「この人はこのように貢献した」と言えることは最低限必要だろうと思う。実際、分野によっては共著者に関して「この人は論文のどの部分で貢献したか」というのをチェックする論文誌もあり、どこにもチェックがつかない人は共著者の資格がない、ということもある。(全然なにもしていないのに「ぼくの名前、どこに入るの? (=ぼくは共著者に当然入るよね?)」と言ってくる人もいるらしいが、そういう人はこういうジャーナルに投稿するときは「すみませんが、こちらの表でチェックしてチェックがない方は共著者には入れられませんので……」と断ることができる (笑))

とはいえ、アカデミアで仕事をすると、論文数だとかなんだとか、数字で見えるもので評価されがちなので (異分野だと内容も分からないし、共著でも誰がどこをどれくらいやったのか分からないし)、水増ししたくなる人たちの気持ちも分からないでもない。(ただ、みんな水増ししすぎると形骸化するし、水増しする人としない人がいると、水増ししない人が一方的に不利になるので、苦渋の選択として水増ししている人たちもいるのだろう)

せちがらい話……

食事後、やはりパレードに繰り出す。もはや何日目かも分からないが、今日もものすごい人手。10人ちょっとの人数で出発したのだが、人が多すぎて途中ではぐれ、@uchumik さんと K 川さん、H 鳥さんの4人で別行動。結局最終的には合流できたが、今日も合流できるかどうか不安だった (汗) まあ、小さい町で、端から端まで歩いても40分程度なので、はぐれても確実にホテルまで帰って来られるが……

しかしチェンマイは美人が多い (と書くと妻に刺されそうだが)。パレードを見に行った男性陣全員が「あの子かわいい」と言った20代弱の女の子がいたのだが (わざわざツーショットで撮ってもらう現地の人がいたり)、さすがにそういう写真が iPhone の履歴に残っていると危険なので自重する (基本的に奥さんがいる人はみんな写真を撮るのを自粛していた (笑))。実家にチェンマイから絵はがきを送ったのだが、返信で「チェンマイは美人の産地です。目の保養になりましたか。」と戻ってきて、そうか、美人の産地で有名なのか、と妙に納得したり。

(写真はいろいろ撮影したが、iPhone だと夜遠いところにあるものを撮影するのは厳しいので、近くで撮影できたパレードの様子。詳しくは @ayayan1028 さんが撮影された 写真集 をご覧いただきたい)

帰りつつ [twitter:@ayayan1028] さん、[twitter:@komiyakanako] さんと「ベルサイユのばら」の話をしたり。@komiyakanako さんは「ベルサイユのばら」より「オルフェウスの窓」が好きらしい。帰国後一気読みしたが、確かにこちらのほうがせつない。ドイツとロシアの間の戦時中を舞台に、いろいろとすれ違いの悲劇が……。11月28日まで1巻が無料で読めるので、興味ある方はぜひどうぞ!

ちなみに、Renta! は古い名作が1冊100円で読めるので毎週のように使っているのだが、ときどき過去の作品なのに全巻揃っていないことがあるのがちょっと残念。あと、必ずしも有名な作品が全部網羅されているわけでもない (たとえば「はいからさんが通る」は読みたいがまだ入っていない)。もっとカバーされる作品が増えてくれればいいのだけど。(電子書籍の購入サイトは乱立しているのでなかなか完全移行をためらうが、貸本サイトは Renta! しかないし、どうせ48時間過ぎれば読めなくなるので、「このサイトで電子書籍を買ったら将来に渡って読めるのだろうか」などと心配しなくてよい)

お祭り自体は今日が最大とのことだったが、毎日すごかったなぁ。帰り @ayayan1028 さんとコンビニ (セブンイレブン) に行ったら、[twitter:@tomo_wb] くんや [twitter:@seijik42] くんたち松本研組 (カレーを食べに行っていたらしい) と出くわす。自分はチップにするため高額紙幣を崩す目的で2日に1回くらいコンビニに行っていたのだが、他の人たちはけっこう足繁くコンビニに来ているらしい。確かに便利……。