博士号持ちの人に英語論文の添削をお願いすると論文1本1往復7万円

午前中、来客。@sesejun さんからのご紹介、だそうで。これまでも自分は割合アウトリーチ活動もしているつもりなので、今後もご協力していきたいものである。

午後ひたすら論文の直し。なかなか収束するところまで行かないが (実験結果がけっこう変わったり。実験内容は変わらないが、見せ方が変わる)、そろそろ先が見えてきたかな? 昨日書き込んだはずの添削が反映されていなくて、また PDF が見えなかったのかと思いきや、どうも紙に書き込んだ2ページばかりがどこかに行ってしまったらしい……。気を取り直して再度書き込む。書き込むごとに1枚ずつ渡しているのだが、こうすると散逸しがちなので、全体に書き込んで一気に渡したほうがいいのかもしれない (でも順番に渡したほうが、添削している間に反映できるので、同時に作業するならこのほうが効率がよい)。

添削した枚数、昨日の夜の段階で20枚 (今回は short paper なので本文4ページ。2カラムなので、1カラムに直すとだいたいA4で8ページ。ダブルスペースにすると16ページ) 以上あったそうなのだが、今日2.5往復したので、全体で7-8往復くらいかな。3往復くらいだと、全部添削し切れないのだが、これくらい往復すると、添削したいところはほとんど添削できる (それでも第三者の目は欠かせないが)。やっぱりこれくらい往復しようと思うと、同時に2本が限界かと思う。記録を見ると自分は過去最高18往復しているようである (添削される側として)。10往復を超えようと思うとどれくらい添削しないといけないのか、自分では想像がつかない。相当細かいところまで徹底的に直さないとそこまで行かないだろうな……

いまの M2 でまだ外部発表していない人たちも、そのうちこのチキンレースを体験していただくことになるだろう (笑)

英語論文の添削、その分野の博士号持ちの人が内容まで添削してくれるサービスに出すと、これくらいの分量だと1往復で7万くらい (これは実際自分が見積もりをもらった金額。単なるネイティブチェックに出すともっと安い)。これを高いと思うか安いと思うかだが、自分は安いものだと思う。この業者の人に頼んだ論文のコメント (Word で出すと編集履歴つきで Word のファイルが戻ってくる) を見せてもらったことがあるのだが、英語部分のチェックはもちろん、リファレンスの (形式的に、ではなく研究的に) 抜けているところを指摘してくれたり、論文の構成をがらっと変えて可読性を大幅に上げるような提案をしてくれたりするので、実質的にちゃんと面倒を見てくれる研究室で指導してもらうのと同じような添削を受けられる。逆に言うと、論文の添削というのはその言語を知っているからできるという類のものではなく、その分野の専門家でないと (あるいは百歩譲って異分野であっても、学術的な論文を書くという訓練を受けていないと) ほとんど添削できないので、その専門知識に対して対価を払う、というわけである。

たとえばあなたが将棋の専門書の添削を頼まれたとして、将棋についてルールくらいしか知らなかったら、「3手目後手3二金は…」などと書かれても、指し手の部分は全く添削できないのと同じで、将棋について詳しい人に頼んで内容に踏み込んで添削してもらわないと、ほとんど添削してもらっている意味がないのだ。(「英語論文の添削」と聞くと、冠詞や時制の修正だけする、というイメージを想像される人が多いかもしれないが、それは添削というより校正)

もし自分が所属する大学院の研究室 (指導教員) が、赤ペンでびっしり書き込んでくれるタイプでなかった場合、年間60万円だか (私立ならもっと) 授業料を払っても論文の実践的な書き方は教わることができないし、いくら大学院に通って学位を取得できても、論文が書けるようになっていなかったらほとんど意味がないわけで、お金を払ってでも書けるようになって出て行ったほうがよいと思うのである。というわけで、大学院生のみなさんは、ぜひ学生のうちにどしどし教員を利用していただきたい (いくら添削を頼んでも相手が教員なら無料 (笑) ネイティブチェック代も工学系の研究室ならまず研究室から出してもらえる)。

原稿の直しの合間に @syou6162 さんの AAAI のポスターを見せてもらう。AAAI は口頭発表の他にポスター発表もやるらしい。大変そう。自分はポスターだと作るのも説明するのもずっと立っているのもしんどいので、口頭発表のほうが好きだが、オーガナイザーからポスターを指定されることもあり、なかなか難しい。来月もポスター発表しないといけないので、いまから気が重い。

夜原稿の投稿 (日本時間26日の19:59が〆切)。最後日本語のフォントがうまく Ubuntu で埋め込めないという問題があって焦ったが、なんとか解決。ワークショップに投稿したみなさん、お疲れさまでした〜。けっこう本数が集まったようで、査読割当も3本来た。査読〆切まで2週間と慌ただしいが、楽しみ!

なんだかんだと1週間これにかかりきりになってしまった……7月は頭からずっと比較的時間がある予定だったのに、もう下旬も終わろうとしていて、信じ難い。明日からは本当にしばらく固まった空き時間があると思いたい。