博士に進学する人のプレ就職活動

国際会議のシーズンが終わったと思ったら、日本学術振興会特別研究員の申請シーズン。例年5月くらいが〆切なのだが、今年は震災の影響で1ヶ月延びているのである。学内の〆切はNAISTだと6月に延びたということになる。

この特別研究員、大学院生の身分で応募できる数少ない(職歴=研究歴に書ける)「研究員」で、月20万円のお給料がもらえることも確かに魅力的なのだが、研究計画書を書くことによって自分の研究テーマが決まって(覚悟も定まって)来たりするので、博士課程に進学しようと思っている人は、とりあえず書いてみるとよい。(後述するように、書くには相当エネルギーを使うので、書くと決めたら全力投球したほうがいいし、全力投球できないなら、あえて挑戦せず他のことに時間使った方がいいが……)

たかが8ページ、されど8ページ、すごく短いのですぐ埋まるかと思いきや、2週間くらい平気でかかりきりになるので、甘く見ず可能な限り早めに全体を埋め(=0稿)、何回も何回も最初から最後まで見直してクオリティを上げていく、というプロセスは論文を書くときと同じ。書く内容を決めたら (自分はこのプロセスは紙の上でやることにしている。手帳の自由記述欄に図表を含めて箇条書き程度でまとめておく) とにかく最初はひたすら空白を埋める。図表も一度に全部完成させなくていいので、とにかく埋める。埋められるところから手を止めず埋める。

「あとで書き直すのが嫌だから」と思う気持ちも分かるが、何回でも段落ごと削除、半分以上入れ替え、などなど大幅に書き換えつつ、少しずつ書き直すところが減っていって収束するのが典型的な完成までの道程なので、難しいところは後回しでいいので、とにかく埋められるところから順番に埋めていく。

全体が終わったら、図表を少しずつかっこよくしていったり、見やすくしていったり、ストーリーの流れを明確にしたり、全体の調整をしたり、といった細かいところをやっていく。論文も研究計画書も、読む人の気持ちになって考える、ということに尽きる。もっとも、初めて書く場合、読む人がどう感じるか、ということに関する経験がないので、時間もかかるし頭も悩ませるわけだが……

以前学振取るまで(NAIST版)という文書を書いたことがあるのだが、今年以降は@ceekzさんの書かれた日本学術振興会特別研究員(DC1)申請書も読まれるとよいと思う。

基本的には他の通った人が書いた申請書をN本以上(Nは2以上であることが望ましい)入手し、どういうふうに書けば通るのかを試行錯誤しつつ書く、という感じ。添削をしてくれる人(学振経験者の人が望ましい)がいるなら添削をお願いすると、穴を未然に防ぐことができる。

そういえば自分の書いた Microsoft Research でサマーインターン で思い出したが、今年は松本研 D1 の @tettsyun くんが6-9月の予定でMicrosoft Research (Redmond つまりシアトル)のインターンシップに行っているので、学振出さない人でもこういう形で海外の研究所にインターンシップに行くという道もあるし、就職活動をスキップして博士課程に進学することを決めたのであれば、就職活動の代わりに研究計画書を書く(大学の教員入門?)なり企業の研究所のインターンシップに行く(研究員入門)なり、D3になる前から動いておくと、D2-D3の就職活動のときになってはたと「自分はなにがしたいんだろう、というかなにになれるんだろう」と気づいて途方に暮れたりすることを回避できる。

というわけで、博士課程に在学中、あるいは進学予定のみなさんの健闘をお祈りする。