12人の研究者のものがたり

一昨日から徹夜続きだったので午後出勤。

昨日は修論の方々のお話が聞けなかったので、今日は週末から今日にかけての様子を聞いてみたり。修論提出まであと1週間程度なので、まだ実験で手一杯で書いていない人も、そろそろ書いたほうがいいのでは……と老婆心。学部生のとき、レポートは提出当日になってから書き始めていた自分は人のことは言えない。

図書館から予約図書が届いたという知らせ。最近本代が馬鹿にならないことに気がつき(年間20万くらい、研究とは関係ない本買っている)、図書館に入っている本を読むことにしていて、ぼちぼちとリクエストしていたのだ。(岩波新書ブルーバックスはほぼ全部揃っているのだが、だいたい新書を読みたいときは外のカフェなので、やっぱり本屋に行ってその日の気分で数冊選び、カフェ読んで帰ってくる)

リクエスト自体、通っても手元に届くのは1ヶ月以上かかるので、忘れたころに届くのだが、Amazon のリストに入れたまま注文せずに戻したりするものもある(ほとんどの場合値段的なもので、2000円以下なら Amazon で注文する)し、割と嬉しい。

忙しいときは読まないが、1日100ページくらいは本読まないと眠れない。横になったらすぐ眠れるの、寝る直前は本を読んでいるせいかも (午前4時に帰っても本読んでから寝る)。頭使うような本読んでないせいだろうが……。

最近読んでヒットだったのは「ビヨンド・エジソン」(タイトルはいまいち)

ビヨンド・エジソン

ビヨンド・エジソン

12人の博士、というか研究者へのインタビューなのだが、インタビュイーが最相葉月で、「へえ、こんな本も出しているんだ」と気軽に手に取ったのだが、このインタビューがとてもクオリティ高い。

だいたいこういう「研究者にインタビューしました」本というのは、研究者本人が解説した「本人は分かっているのだろうが読者はよく分からない」本人の研究テーマの解説がだらだらついていたり、あるいはそれぞれのインタビューの質にばらつきがあって、おもしろいインタビュー(自分がその分野に興味があるから、というのもあるし、逆に興味がなくてもおもしろいものも)とつまらないインタビューがあって玉石混淆なのだが、この本はどのインタビューを取っても掛け値なしに全部引き込まれるのだ。

まえがきとあとがきにも書いてあるが、たぶんそれは筆者が「研究者」というものに対して心の底から敬意を持ち(大学では法学部に進学したが、高校のとき元々科学部だったらしい。)、研究の内容も真摯に理解しようとされているからかな、と思う。言語処理に関係でも「言葉の不思議を探求する」という章で「音声工学者・峯松信明と動物科学者テンプル・グランディンの自閉症報告」と、そして「人間とコンピュータの対話をデザインする」という章で「情報科学者・中小路久美代と作曲家モーツァルト伝」について書かれていて、この章だけでも言語処理に関する方々に読んでもらいたいくらいなのだが、いまの仕事に至る経緯を淡々と語る研究者、そしてそれを一言も聞き漏らすまいと書き連ねる筆者、淡々と書いているが、研究するひたむきな心に触れて泣けてくる。

こういう本こそ高校生や大学生に読んでほしいと思う。ちなみにこの本、奈良先端大の「教員推薦図書」らしい。自分のところに届いた本は「NAIST 男女共同参画室」で購入された本。IC タグもついているのだから、借りるとき教員の推薦文とかリビューとか見られたらいいのにな。いまどきプライバシーの問題があって難しいのかもしれないが、いつ誰が借りたのか見られるとか。「あ、この本あの先生が学生のとき借りてたんだ!」とか発見するとちょっと楽しかったり。昔のマンガにあった「図書室で好きな子が借りた本を借りる」「卒業生の名前が図書カードにあって思いを募らせる」的なストーリーはいまでは無理なんだろうか (笑)