働くのが嫌だと思っている学生ほど働いてみるべき

午前はオフィスへ。ミーティングで白熱議論をしていたら昼ご飯を食べる時間を忘れてしまった。仕事は忙しければ忙しいほど楽しいものだが、お腹が空くのも忘れるほど熱中するのは自分の悪い癖である。むむー。

「働くことがイヤな人のための本」というのを読んだのだが(著者の中島義道科学史・科学哲学出身の先輩に当たる哲学者)、

やっぱりすでに全然共感できない(自分が駒場にいたときなら大共感できたのだろうが)。

面白い仕事などめったにないし、世の中とはもともと理不尽なもの。では、どうしたら意欲を持つことができるのか。哲学的人生論のベストセラーを文庫化。

とあるのだが、確かに自分が学部生(とか高校生)のときこれを読んでいたら「こう考えていたのは自分だけではなかった」と共感しただろうし、自分の考えや感情を言語化することができて腑に落ちて感激したのだろうが、実際働き始めてみると仕事は十分おもしろいわけで、理不尽なこともそうそうないわけで(これは自分が恵まれているせいだろうが、ここに至るまで確かに紆余曲折はあった)、「案ずるより産むが易し」という言葉もあるように、基本的に「学生だったらとりあえず働いてみては」と思う。ここで「働く」というのは、アルバイトでとりあえず働いてみるか、というのではなく、社員でもいいし、オープンソースソフトウェアの中核の開発者でもいいのだが、自分がやったことに責任を取る、そして、自分がいないとできない仕事をする、ということである。(アルバイトも1年以上の長期に渡るなら当てはまるだろうし、インターンシップもフルタイムで3ヶ月やるなら該当するだろう) 

まあ、それでも働く意欲がない人はいるわけで、著者がいかに働く意欲がなかったか、という体験談、たとえば入社の試験に出してみるが家を出て駅まで行って引き返すとか、最終面接でわざとぶち壊しにするとか、そういう話が延々書いてあり、著者が働きたくない気持ちは非常によく分かるのだが。それでも、著者がその状況を打開するきっかけは、やはり塾の講師として教えて自信をつけたからだと思うし、それ(=30歳までモラトリアム)が可能だったのは、今で言うニート状態でも家がなにも言わず、30から留学すると言い出してもほいほいとお金を出してくれる家族がいた裕福な家庭に育ったからだろうし、自分で自分の人生を変えようと思ったら働きたくなくても働き始めるしかないんじゃないのかな、というのはこの著書から逆説的に思うのである。

それはさておき、時間がないのでタクシーで新宿サザンタワーにあるマイクロソフトに移動、MSR 日本情報学研究賞の表彰式(講演)に行く。宮尾さんのトークがいちばんおもしろかった(質疑応答も非常に活発)。述語項構造解析を用いた検索、宮尾さん作られていたのかぁ。こういうように、これまでの自然言語処理でなにができなかったのを、自分がどういう工夫をしてできるようになり、それを実際どのように応用したのか、というストーリーが明確なトークができるよう、自分も心がけたい。

@msraurjp さんから MSRA の所長さん・副所長さんを紹介してもらったり。「Mamoru-san は日本の自然言語処理の若手研究者の中で有名なブロガーで、みんな読んでます」と紹介されたのだが、確かに一言でまとめるとそうなるかもしれない (笑) いや、もっと「これが自分の仕事です!」と言えるような研究(開発)を5-10年くらい腰を据えてやるべきなのだろうなー。ちなみにウェブ日記は2001年から書いているので今年で10年目であり、これまで1日も飛ばしたことはない(あとから書くことはよくあるけど)。

それから根津に移動。都営新宿線で帰ったのだが、行きは「新御茶ノ水」という駅で乗り換えた記憶があるのでのんびりしていたら、どうも終点近くまで行き、本当は「小川町」という駅で乗り換えなければならないことに気がつく。紛らわしい!

夜は根津の大八へ。日本酒がおいしい! 川エビの天ぷらとか料理もよい。値段は若干高めかな。料理がコストを上げているのだが、逆に日本酒はこの値段でこれだけ飲めるといいな〜。日本酒だけ飲みに来たいかも……