余談は理解を深めるためのスパイス

午前中から延々学生宿舎の掃除……。まだ荷物を3割搬出しきれていなかったので、掃除して疲れたら荷物を出し、荷物を出して疲れたら掃除をし、という反復作業をしていたのだが、全然終わる気配がない。「午後にチェックがある」とだけ聞いていて、何時か聞いていなかったのだが、休んでいる暇もなくひたすら作業。搬出作業をしていると、2時半に一度事務の方がいらして「いまチェックできますか?」と聞かれたので「いえ、まだ無理です」「いつごろなら OK ですか?」「あと1時間半くらいいただければ……」ということで、少し延ばしてもらってトイレ・お風呂・洗面台など水回りの掃除。1ヶ所掃除を始めるとあっという間に1時間経ってしまうのだが、これだけ掃除が大変なのは自分以外の卒業生も同じだと信じたい……!

結局6時近くになって再点検してもらい、掃除は合格。しかしまだ荷物を全部搬出できていなかったので、鍵を返すのは金曜日に延ばしてもらう。「小町くんきれいに使ってくれてありがとう」と言われたのは嬉しいが、ひたすら台所や洗面台を磨いていたのは妻だったりする……。入居当初は前の留学生の人があまりきれいにせずに帰国してしまった(お風呂場の排水溝には便のようなものが付着していたり、寝室に米粒が散乱していたり、糊のような謎のネバネバの物体が台所のあらゆるところに付着していたり……なにを料理したらあれが作れるのだ?)ようで、妻はだいぶ苦労したようである。自分はそこまで気にしなかったが、これは汚いとは思ったし、自分の次にこの部屋に入る人が同じように思うのは申し訳ないので、少なくとも原状回復だけはしておこう、と思ったのである。

4月から NAIST の寮に入る人に向けて一応書いておくと、NAIST の寮は入ったら相当汚いことにびっくりすると思うので(少なくとも男子部屋は)、Be prepared. ですな。退寮点検はあるのだけど、業者が清掃に入るわけではないし、そこまで詳しく(「ほら、ここの鴨居に埃が!」と古典的なチェックが入るわけでもなく)チェックしないし、仕方なくはあるのだが。寮費が電気や水道代を入れても月1万円ちょっとで住めるという安さと、大学の敷地内にある近さは、部屋が狭い、そして多少汚いという欠点を補って余りある。汚いとはいえできてからまだ20年経っていないのでそこまでひどくはないし……。

自分は中高一貫の男子校にいたが、それはひどいものだった。教室の廊下が元々はモップがけしてつやつやになるような(小学校では普通上履きに履き替えて使うのだろう)木のタイルなのだが、土足で上がるために真っ黒になって土の上を歩いているのと変わらないような感じだった(間違って転ぶとズボンが真っ黒になる)し、掃除もろくろくしなかったためにいつも1m四方もあるゴミ箱がいっぱいでゴミが散乱して異臭を放つという、これはどこのスラムか腐海か、という状態だった。さすがにあれはひどいんじゃないかと思う……。

そういうわけで、研究室のゼミ室のゴミ箱が、自分がいた中高のゴミ箱状態(いつも溢れていてティッシュとかティーバッグが雪崩を起こしている)になっていることを自分は憂いており、研究室の卒業生一同からの贈り物としてゴミ箱一式を研究室に寄付することを提案(紆余曲折はあったが、無事成立)。昨日の追い出しコンパでお披露目会をしたので、研究室に持って行ったところ、@smly くんと @tettsyun くんの2人だけでM1 の勉強会(統計的自然言語処理の基礎勉強会)をやっており、チューターがいないとのことだったので、ピンチヒッターとして少しだけ参加。さすがに2人だけでやるのはかわいそうすぎる。

実は自分は一度もこの勉強会のチューターをしたことがなかったので、自分が M1 のころのチューターだった ryu-i さんや nozomi-k さんはどういうふうにしていたかな、と思い出しながらやってみたのだが、結構おもしろかった。M1 のときに読んだのとまた違う愉しさがある。5年間滞在すると、この本のどの章を取ってもなにかしら知っているとよいことが書いてあるので、飛ばすことなく全部やったほうがいいんじゃないかな、と思うのだが、M1 のころはとにかく全部やらないと、と思ってがんばっていたなぁ。就職活動中の人たちもあまり休まず参加してくれていたし、最後の章まで一応全部やったし、就職戦線に異状がなかったとはいえ、あれは特異なことだったのかも? それと比べると今日の担当だった @tettsyun くんは非常によく読めていた。すばらしい。こういう勉強会のチューターの役割って、教科書に書いていないけど理解を深めることを伝える仕事(内容の定着度を上げる)だと思う。@smly くんも @tettsyun くんもだいぶ理解が進んでいるので、いろいろ話してあげることができてよかった(本当はあと二三補足したいこともあったのだが、余談ばかりして終わらないのも困るので黙っていたが)。

今年度は機械学習の章の手前で終わるかもしれない、ということだったが、昨日の追い出しコンパで @Wildkatze くんが「機械翻訳は勉強する機会がなかったので全然分からないんですよ」と言っていたのも気になるし、自然言語処理の中では機械翻訳は割と大きなトピックなので、教養として(自分のタスクに直接関係ないとしても)知っておいた方がいいんじゃないかなとは思う。来年度何人か機械翻訳やりたいという学生さんが来るそうで、多少予備知識があるのとないのとでは先輩として話が通じるか通じないかにも少しは関係してくることだろうし……。