初の海外生活は言葉が通じなくて当たり前

車で銀行に行く。「ふくさ」と入れて「副査」が出てくるのが博士の学生っぽくていいですね。

午後は卒業生の人と歓談。論文の別刷りが届いたので書類手続きをしたり。

habib-a さんがケーキをごちそうしてくれるというので遊びに行く。ケーキもよかったが、ケーキはそんなに大量に食べられないので、チャイをおかわり。彼の部屋に遊びに行くたびにチャイを出してもらっているが、チャイはとてもおいしい。

月曜日・火曜日と英語を使っていたので、数ヶ月ぶりに英語を使っているが、英語で喋るのに慣れてきた。逆に言うと、数ヶ月使わないだけで言葉が出てきにくくなるのだなぁ。

いまでこそ habib-a さんも日本語一気に上達したので日々楽しいらしいが、こちらに来てから最初の数ヶ月はとても苦しかったらしい。奈良にはパキスタン人も彼しかいないようで、助け合うこともできなかった、と。その苦労、よく分かる。

日本人留学生はもっと助けあっても良いと思うというエントリを見ても思うのだが

途上国の学生が豊かさという明確な目的を持って
アメリカに来ているので自国の出身者で集まるのに抵抗がないのに対し、
既に豊かな日本から来た学生は、傾向として
アメリカという「場所」に来たことに意味を見出したがる。
「せっかくアメリカにいるのだから日本人とつるむのはやめよう」
という風に、自国の学生との交流をネガティブなものとして
捉えるきらいがある。

自分も学部3年生のときシドニー大学に1年間交換留学していたときはそうだった。「語学留学で来ているわけでもないし、せっかく海外にいるのだから日本人とつるむのは止めよう」と。でも、やっぱりそれは間違っていたな、と今では思う。もちろん、日本人とルームシェアして日本語しか喋らずに帰る人もいるわけだが、たぶんそういう人は何人と暮らしても(もしくは studio で一人暮らししていても)自分の部屋に引きこもって日本の友人とずっとチャットしたりメールしたりしているだろう。

日本人にしか分からないこまごまとしたこと、聞けば一瞬で分かるのに自分で苦労して右往左往するより、「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」(このことわざすごく久しぶりに聞いた気がする)だと思って他の人に助けてもらったほうがいいんじゃなかろうか。日本人で留学する人なんて特にプライド高くて他人に聞けない性格の人が多いのかもしれないが、たぶん聞けたほうがいいと思うし……

シアトルにいたときは studio で一人暮らしだったので、聞こうにもなにも聞けなかったのだが、去年シリコンバレーにいたときは、ルームメイトもメキシコ人だったし、割と積極的に日本人のコミュニティとつながりを持とうとしたと思う。なんだかんだ言って人と人とのつながりが一番大事だと思ったし、日本人と友人であることがそれ以外の友人を遠ざけることになるわけでもないし。むしろ日本人の友人もいるほうがルームメイトは安心していたようである。彼女も異国の地で20年近く暮らしているわけだが、アメリカに来て母国出身の人と助け合わないのは違和感があるらしい。

先日 @wasabimustard さんと帰り際話題にしたのだが、やっぱり初の海外生活は言葉が通じなくて当たり前だし、豆腐の角に頭をぶつけて死にたくなるようなことも多々あるのだが、それでも行った方がいいと思う。全く言葉が通じなくて(一言も口から出せないで黙っていたりして)消えてしまいたくなるようなみじめな経験も必要。いつかは通らないといけない道だしね。数週間から数ヶ月どん底を経ると、楽しくなってくるし、それを経験していると、せっかく日本に来てくれている留学生に対し、優しくなれると思う。言葉が通じない、現地の友人ができないのがどれくらいつらいか、留学したことのないほとんどの日本人は分かっていないと思う(もっとも、友人作るのがうまい人もいるので、全員がそうだと言うわけではないが)。

そうこうしていると、F 原(@yanggnay)から海外で2-3年留学しなさいよ、ということを勧められる。曰く、ポスドクにせよなんにせよ、アメリカでどのように研究がなされているのかを知ると、教育方針が変わるだろうから、とのこと。話を聞くと、確かにごもっともと思うことも多い。今後アカデミアに進むとしたら、どこかで2年前後はアメリカに行ったほうが自分にはよい経験になるのだろうなとは思うのだが……。