ソニー VAIO 修理完結編

年末から年始にかけて修理に出していた VAIO type T が帰ってきた。これまで書いていなかったかもしれないが、実はこの VAIO は当時出始めた SSD 搭載機種なので、34万円するものである。英語キーボードにするためと、3年保証をつけるために Sony Style の直販で購入した。奈良先端大と Sony Style は直接取引がなかったので、法人契約してもらうために多少手続きが必要だったりもした(大学は基本的に売り掛けでしか購入できないので、対応してもらうために大学の登録が必要だった)のだが、一応そのあたりのことも全部やって購入したものである。そのため、「安い PC を買っているんだからサポートが悪いのは当然」という声もあったのだが、そんなに安いものを買ったという意識はないのだけど……

以前書いたことがあるが、

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

ぼくが最後のクレーマー―クレーム攻防の方法 (中公新書ラクレ)

ぼくが最後のクレーマー―クレーム攻防の方法 (中公新書ラクレ)

はデパートの苦情処理係の室長をしていた人の本なのだが、「どんなクレーマーのタイプがいて、サポートとしてはどう対応するといいか」ということが書いてあるので、いろいろと勉強になる。特にミスが発覚してからのソニーのサポートの対応は、かなりこの「クレーマー本」の見事な対応に相当する(初動が悪かったけど)。自分は「クレーマー」扱いされないように気をつけたつもりではあるが、やっぱりクレーマーだと思われるんだろうなぁ。上記の本にも「クレーマーとよく似ているが、改善のために文句を言ってくる人がいて、そういう人は大切なカスタマーだから、大事にしないといけない」ということが書いてあり、自分としては後者のつもりなのだが(「ここを満たせばクレーマー」という点は特に注意して該当しないように気をつけた)。というか、そうじゃなかったら別に黙っていればいいわけで、エネルギー使ってまで言うだけ損である。

さて、届いた VAIO を動作確認したところ、HDD (SSD) は全部初期化されていて、CD/DVD ドライブの不具合、USB の不具合ともに解決していた(前 Ubuntu Linux の Live CD で確認したときも読み込めない症状はあったので、Windows を復旧したから直ったものだとはあまり思えないのだが、出たり出なかったりする不具合だったので、今は出ていないのであろう)。データはバックアップしてあるのだが、はてさてどうしたものか……。アプリケーションも、基本的に論文の読み書きができればいいだけだったので、FirefoxVMware player と MS OfficeAcrobatNorton しかインストールしていなかったのだが、このまま復旧するのも(不具合が再現したら)意気消沈なので、これを機に Windows 7 に更新しておくか(英語版の Windows 7 Ultimate は手元にある)。

夜カスタマーサポートの人(たぶんかなり偉い人)から電話があり、今回のトラブルの経緯について説明してくれた。曰く、先日もらった電話内容と事実関係はほとんど同じなのだが、指示が2つあったというのが誤りで、実は「VAIO カルテの指示に従って消したので、ご了承ください」という連絡内容が工場からサポートに上がっていた、というのが真相らしい。ではなんで3人ものサポートが「HDD の初期化の同意を得るように」と誤解したのか、という点についてなのだが、1人目のサポートの人が「HDD の初期化の同意を得るように」という指示があったものだと誤解して、2番目以降のサポートの人に「HDD 初期化の同意を得ること」「これ以上のチェックのためには HDD 初期化が必要なことを伝えること」という2つを申し送ったために、2番目3番目の人もそのような電話をしてしまった、と。本来なら最初の工場の指示まで遡って見なければいけないところ、確認を怠ってしまったのが度重なるミスの原因なので、申し訳ありませんでした、とのこと。それならば仕方ないか。とはいえ、自分も Gentoo 活動していたとき、Bugzilla でバグがアサインされたら、自分にアサインされる前後の動きだけではなく、一番上の報告まで見ていたと思うんだけど……(そこまで見ないと間違った対応をしがちなので)。

もう一つ、VAIO カルテに記載があるから消す、ということに関しては、実は電話で修理受付するときに口頭で HDD 初期化の同意があり、なおかつ VAIO カルテに初期化同意のチェックがある場合のみ、それ以上の承諾なしで消している、というものらしい。別のメーカーの修理関係の人曰く、修理に出すなら HDD が消えるのは当然とのことであるし、自分も修理のために消されるのは当然であることは承知していたので、修理受付のときに同意したのではあるが、「修理」でなにを指すのかについての解釈がカスタマーとサポート(工場)とでどうも違うらしい。こちらに関しては、工場の人の「当然」とカスタマーの側の「当然」が違うのが問題であり、医療現場で提唱されている「インフォームドコンセント」の考え方を援用するならば、今回は「コンセント(同意)」はあったが「インフォーム(十分な説明と理解)」があったとは言いがたく、ちゃんとインフォームしてほしい、と伝えた。

一応手元に VAIO も戻ってきたし、真相も明らかになったし、これで一連のごたごたは解決かな。

結論としては、Windows 機を今後買うなら ThinkPad か Let's note 以外ないですね。いろいろ説明してくれてソニーに対する不信感は消えたけど、もう同じようなプロセスはしたくないし、サポートに頼まないでも自分で全部直せる的には ThinkPad 最強。トラックボール時代から Let's note ファンなのだけど、トラックボールが消えた今、英語キーボードが選択できないのと、キーボード(配列、タッチ)がいまいちなのがなぁー。Mac 使うようになってトラックパッドに対する抵抗はだいぶなくなったのだが、マルチタッチ(2本指操作でスクロールや拡大縮小とか)があるからトラックパッドでも我慢できる、という程度なので、やはり使うなら ThinkPad ですなぁ。