ソニー VAIO のサポートがひどかった件について

12月は VAIO の修理を依頼していたのだが、なんだかなぁと思う対応に振り回されたのでその顛末。検索すると他の人もひどいと書いている(ユーザ調査でも絶対上位ランクインしない)ので、自分だけではないと思うが、たまたま当たった人(たちx4)が悪かった可能性もあるし、他の会社でもひどい対応を受けた人もいると思う。Apple の対応がひどかったとか、いやいや大学名を出すと Apple は扱いが全然違うとか、うーん、と思う意見もいただいたが、たぶんこの業界で一番対応がよいのは IBM (ThinkPad) であるという認識は恐らく全員共通しており、自分もかれこれ指折り数えるくらい ThinkPad の修理を頼んでいるが、「え、ここまで交換してくれるの?!」というようなところまで換えてくれたり、修理も非常にスピーディなので大変好感が持てる。

今回のソニーの対応は、端的に言うと「修理のためにデータの初期化をしていいですか」と言われたのに対し「初期化しないで送り返してください」と伝えたにも関わらず、数時間後「すでに初期化したのでご了承ください」とだけ電話されて、こちらが「了承します」とも言っていないのに勝手に電話を切られた、という話。

(この段落追記) 消したこと自体は「VAIO カルテ」で同意済みなのでいいのだが、「これから消すので、消していいですか」と電話された時点ですでにデータが消えていた、というのは最初の説明に反する、というのが問題である。消されたのが問題だという話ではない。サポートと工場の連絡が全く取れていないように思える(そしてサポートのレベルが低い)点が今回の焦点であり、解決の見込みがないようだ、というのが結論である。データが消されたのは自己責任であるし、バックアップは取ってある。しかしバックアップから書き戻すなら、ハードウェア的に異常がないとの検査結果にも関わらず、OS の再インストールで「修理」したというのはおかしいと思う。バックアップから書き戻したら再現するのでは? ハードウェアに異常が見られなかったらハードウェアは交換せず送り返すなら、ソフトウェアに異常が見られなかったらソフトウェアも交換せず送り返すのが筋だと思うのに、なぜかソフトウェアだけ消されているのである。ちなみに、消去の同意の有無にかかわらず、管理者のアカウント名とパスワードは伝えるので、消去する以外にチェックする方法がないわけではない。異常がないところを「直す」というのは、風邪を治してもらおうと病院に行ったらなぜか入院することになり、気がついたら腎臓を一個取られていた、というような対応である(腎臓には異常がないのに、「念のため」取っておきましょう、と)。

さて、VAIO の修理(DVD ドライブが認識しなくなった、USB が認識しなくなった、type T の AC アダプタのリコール)を依頼したのは12月24日のことなのだが、25日に引き取りに来てくれた。

28日に入っていた留守番電話には出られなかったのだが、29日に電話すると、「DVD ドライブの認識と USB スロットの認識は不具合が確認できなかったので、HDD を初期化しないとこれ以上のチェックができません。つきましては、HDD を初期化してもよろしいでしょうか」という内容であった。「これ以上チェックしてくださらなくて結構ですので、HDD は初期化しないで送り返してください」と伝える。もし仮に初期化しなかったらどうなりますか、と質問したら、工場にわざわざ電話して確認したようで、「工場からは、初期化したら問題は解決するかもしれないけど、別にしなくても現状とは変わらないそうです」とのことで、そりゃそうだろうなと思う。

19時半に再度電話がかかってきて、驚いたことに、「すでに初期化を開始したので、データを元に戻すことはできません。ご了承ください」とだけ伝えられ、「初期化しないでくださいとお伝えしたのになんで初期化するんですか?」と質問したら「お昼にお電話差し上げた時点ですでに初期化していたので、データを復旧することはできません。申し訳ありません」と言われ、こちらが yes とも no とも言っていない(具体的には、唖然としていて10秒くらい絶句していた)のに、「担当は○○でした」と一方的に電話を切られてしまう。

実際は修理のときに送らなければならない「VAIO カルテ」に「HDD の初期化に同意する」という欄があり、ここに同意しないと修理しませんよ、ということも書いてあって、これ自体は別にソニーに限らずどこの会社でも同じ(IBM でも Apple でも確認されると思う)なのだが、不具合が見つからないのであればデータは消さないで返送すればいいのに、「律儀」に全部消してから送り返すというのは理解できない。しかもわざわざ電話で確認されたので「VAIO カルテには初期化に同意すると書いたが、そういう事情なら消す必要はないから消さないでほしい」と3回くらい念を押したにもかかわらず、である。

ちょっとこれはひどいと思ったので、しばらく茫然自失していたのだが、気を取り直して再度電話。すると、

  1. データは28日の電話の時点で消えていた(なぜなら VAIO カルテに「初期化に承諾する」にチェックがしてあったから )。
  2. 29日の電話の段階では、工場から「初期化しないとこれ以上「修理」できないから、初期化します」という申し送りがあったのだが、サポート担当がその指示を「初期化しないとこれ以上「修理」できないので、カスタマーに初期化の確認を取れ」と「理解」したらしく、それで電話がかかってきた。
  3. 29日19時時点で、16時の電話の内容に沿うことができない(すでに消えているので消さないことは不可能)ことが分かったので、連絡を入れた。

とのこと。

上記の件に関して後日談があるので、詳しくはそちらを参照されたい。

思えば最初に修理以来の電話をしたときから「この人サポートの電話受け慣れていないなぁ。もしかして今日が初めての勤務なんだろうか」と思ったし、サポートにお金かけていないのだろうとは思うが、このやりとりで心底もう二度と VAIO は買うまいと思った。もっとも、自分が使っている計算機はこの VAIOThinkPad (T43) 以外は全部 Mac (MacBook 黒、MacBook AirMacBook Pro 17inch、Mac Pro) だし、Mac OS X が動いているものは全部 Time Machines (+ Mobile Me)でバックアップしている(rsync で一部のデータはレンタルサーバに転送もしている)ので、壊れてもすぐ1時間前の環境に戻せるので、ハードが壊れてもデータ消失することはないのだけど。

ちなみに ThinkPad は HDD の交換も簡単なので、自分は買ったらまず HDD を別に購入したものに乗せ換えて使い、故障したかな? と思ったら元々ついていた HDD に戻して修理に出す。こうしても ThinkPad ではデータが消えて戻ってきたことは一度もない(ThinkPad X23 を2回、X31 を1回修理に出したことがある)のだけど。VAIO は C1 と 505 を開けてみたことがあるのだが、「このシールをはがすと保証期間内でも修理が有償になりますよ」というようなシールが何カ所か貼ってあって、これはがさないと HDD もメモリも入れ替えることができなかった記憶がある。Mac ですら(トルクスドライバーがないと HDD の交換はできないが)自分で交換したら保証が切れるなんて言われないのに、これはひどいなぁと思ったことがあるのだが、ソニーのサポートがこんなものだとは……。

(さらに追記) 「研究やってて ThinkPad 以外ありえない」というコメントをはてなブックマークでも Twitter でももらうのだが、自分は12月まで ThinkPad X200sT43 持っていた(T43 は MS で3ヶ月働くからもしかしたら Mac だけじゃまずいかと思って MacBook に加えて2台わざわざシアトルまで持っていったくらい!超重かった。しかも MacBook しか使わなかった)し、M1 のころは X31、学部生のときはシドニー大学留学時も含めて X23 使っていたので、ThinkPad がよいことは分かる。

ただ、重量とデザイン的な問題と、あといつも ThinkPad ばかり使うのも嫌だったので、出張時に使う(毎月東京と奈良を往復するのでその中で作業したり、年間数回国際会議で海外に出張するので、重たい PC は買いたくなかった)ために3年前に買ってみたのである。1kg を切る Windows 機という基準では ThinkPad は当然除外される。当時は VAIO type P も X なく、対抗馬は Dynabook SS RX1 だったが、SSD モデルが出たばかりで Dynabook が高かったので VAIO type T にした。今年 MacBook Air を買ってからは1.3kgくらいまでは自分的に許容範囲であることが分かったので、いまなら ThinkPad X200s あたりでいいんだろうなと思っている。ちなみに、今年シリコンバレーで3ヶ月働いたときは、MS での教訓(2台あっても1台しか使わない)により MacBook だけ持っていったのだが、結局現地で MacBook Air を買ってしまった(社員割引があったし、円高で安く買えたので……)。とはいえ、妻が2週間だけ日本から来ていたとき、2台それぞれ使っていたので、これは2台あってちょうどよかった。