GPGPU がアツい。一番ではなく一番乗りになろう。

PFI セミナー GPU コンピューティングの現状とスーパーコンピューティングの未来を見る。予想以上に遥かにおもしろかった。説明も分かりやすいしなにより @nushio さんの話し方が心底楽しそうなのがとてもよい :-) エンジニアにせよ研究者にせよ、一番大事なのは自分のやっていることに情熱をかけられるか、楽しんでいるか、ということに尽きると思う。上記のリンクは放映されたものの録画なのだが、スライドはこちらトークもちょうど1時間程度なので、時間があればスライドだけではなく、トークの最初の数分だけでも見る(というか聞く)ことをお勧めする。先日のウェブ学会のときも思ったが、東京にいなくてもこういうのが聞ける時代になって、すごく便利だなあ。(あとから見ることもできるし、文字通り時空を超えている)

GPGPU ってなんなのよ、というと、これは General Purpose computing on GPU (CPU のグラフィック版)のことで、ディスプレイにグラフィックを表示するときどこになにを表示するのかものすごい速さで計算して描画しているのだが、この計算はそれぞれのドットで並列に計算することができるので、専用に計算する処理ハードウェアが進化してきたのだが、それを汎用目的で使えるようにした、というわけ。

プログラミングには一定の知識(ノウハウ)が必要であり、全てのタスクに適用できるというわけではないようだが、うまくいく場合は100-10000倍の高速化ができたりするそうで、なんだか夢のある話である。それでいて電力の消費量も(スパコンより)少ないし、かかるお金も(スパコンより遥かに)少ないし、スパコン事業仕分けの話が集中したのは残念なことだが、そこで温存されるお金の半分でいいからこちらに回してこの分野で日本の地位を確固たるものにしたほうが絶対いいと思うのだけどなあー

何個か「はっ」とした発言内容を記しておくと、別に世界1位になれなくても人を育てることはできるから、1位になることにこだわる必要はないんじゃないか、という話と、一番になってもそれはいつか誰かに抜かれるけど、一番乗りになるのは誰も知らない学問を生み出せるし、人材もそれで集められる(他の分野に「売る」こともできる!)から、一番乗りになることには意味がある、という話。この2つの違い、自分でももやもやとは思っていたのだが、言語化してもらって腑に落ちる。全くその通りだと思う。(まあ、研究に限った話かもしれないが)

早速 GPGPU のできるハードウェアを買おうかと思って探してみたら、一番人気がある Tesla は10万円台で、ちょっと年度末近いこの時期は厳しい。メモリは2GBくらいで手を打って、手頃な GTX 285 あたりを買うべきか。(すぐ買おうという気にさせるくらいいいトークだった)

こういう人がいるから日本の情報科学はすごいなぁと思うし、PFI はみんな素敵すぎて足を向けて寝られないと思うねえ。