ご冗談でしょう、セルカンさん(業績捏造?)

今日は(学振特別研究員ということで)申請資格はないが科研費の説明会に出させてもらった。たぶん学振の申請書書いた(そして通した)人からすると、それが最初の外部資金獲得経験になっているので、重複する話が多いとは思うが、通したことない人にとっては役に立つのではないかと思う。自分はいろいろ知っていても、けっこう楽しめた。

その中で大学での不正の話が出ていたのだが、まだ投稿中の論文を掲載予定として書いて COE を返上したり、業績を水増しして懲戒処分になったりという話を聞いていて、やっぱりそれくらい厳しいよねえ、と思った。

というのも、前 Twitter でつぶやいたこともあるが、東京大学工学系研究科建築学専攻助教アニリール・セルカン氏についてのまとめ東大工学系研究科建築学専攻教員 アニリール・セルカン博士の経歴・業績に関わる疑惑の検証を見てもらうと分かるのだが、東大で助教をしているセルカン氏の業績と経歴を検証してみると、矛盾点や疑問点が続出しているので、もしこれでクロだとどういう処分になるのか? と思ったのであったからだ。

上記のセルカン氏の疑惑の一例を挙げると

  • アニリール・セルカン氏は「宇宙物理学者」であり11次元宇宙の研究で受賞したことになっていますが、氏を著者とする物理学に関する論文は一編も発表されていません 。また、東京大学、およびJAXAのホームページ等で公表されていたセルカン氏の業績リストに掲載されていた物理学の論文は、現実には存在しない架空のものです。
  • 東京大学で公表されていたセルカン氏の業績リストやセルカン氏発表資料に掲載されていた知的財産権3件については、 2件は他人の特許であり、もう1件は存在しない特許です。
  • ケンブリッジ大学物理学部 特別科学賞受賞」については記録もありませんし、そもそもセルカン氏は物理学の研究業績が皆無なので、物理学の研究によって(まともな)賞を授与されることはあり得ません。 同様に、America Medal of Honorアメリカ名誉賞)やU.S.Technology Award の受賞の記録もありません。
  • プリンストン大学数学部講師」に就任したという記録もありません。またセルカン氏は数学分野の研究業績が皆無なので、数学部講師に就任するということはまずあり得ません。
  • セルカン氏は「宇宙飛行士候補」と言うことになっていますが、NASAの宇宙飛行士候補のリストにも、宇宙飛行士のリストにも掲載されていません。また、セルカン氏の著書や氏に関する雑誌記事にある「セルカン氏が2004年に宇宙飛行士候補に選ばれた際の宇宙服写真」は、NASAロゴが1992年以前のものであるなど、捏造の疑いがあります。(これはどうやら合成写真らしい)
  • セルカン氏の著書等でセルカン氏の研究の説明資料として掲載された図画に、別人によって先に発表された論文や記事にある図画に酷似したものが何点もあり、剽窃(他人の業績の盗用)の疑いがあります。
  • 物理学の論文が存在しないだけでなく、その後の宇宙エレベーターやインフラフリーの研究についても図画等の剽窃が疑われるケースがあります。

ここまでやって学生時代からずっと助教になるまで東大に在籍できるというのはすごいことだと思うが、Wikipedia での情報を操作しようとしていた疑い(トルコ語のページにはばれそうなことは書かず日本でのことを書き、日本語のページには検証しにくいアメリカでのことを書き、英語のページには日本とトルコのことを書き、みたいな)もあり、(一応グレーではあるが)かなり壮大なことをしているようである。

業績捏造については前も書いたことがあるのだが、これはデータを捏造して論文を発表していたシェーン事件のことについて書いたので、そもそも存在しない論文を業績に書いたり(存在しない巻号のジャーナルを使ったりなど、巧妙みたい)、他人の論文の著者だけ自分の名前にしてみたり、これは少し調べれば分かりそうなものだが、大丈夫なんだろうか。

こういう人が増えると、研究員採用のとき「論文の別刷りを出すように」とか言われてしまうのも仕方ないのかな……。

ともあれこれだけの疑惑があるなら東大にはちゃんとシロクロつけてほしいものである。